噫無情【前篇(4)】
あらすじ
『レ・ミゼラブル』の明治日本における。“リメイク版”
黒岩涙香は『レ・ミゼラブル』という大河小説から、戎瓦戎(原作ではジャン・バルジャン)、蛇兵太(ジャビール)、手鳴田(テナルディエ)という3人の個性的な男の絡み合いと対決をストーリーの主軸として浮かび上がらせている。さらに注目すべきは涙香によって再創造された手鳴田の人物像である。戎瓦戎にまつわるすべての真相がこの悪党によって明らかにされていく最後の場面の訳文は冴えわたり、涙香が編み直したこの物語を、手に汗握る緊張度を持続したまま終結にまで導く。
【目次】
(三十三)傍聴席 一
(三十四)傍聴席 二
(三十五)傍聴席 三
(三十六)傍聴席 四
(三十七)傍聴席 五
(三十八)市長の就縛(しうばく) 一
(三十九)市長の就縛(しうばく) 二
(四十)市長の就縛(しうばく) 三
(四十一)入獄と逃亡 一
(四十二)入獄と逃亡 二
【著者】
ビクトル・ユゴー
1802年~1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯作家。10代で詩人としてデビュー、国王ルイ18世に認められるなど早くから頭角をあらわす。1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表。
黒岩涙香
1862〈文久2〉年~1920〈大正9〉年。高知県生まれ。本名は周六。ジャーナリスト、翻訳家、文筆家。大坂英語学校に学んだのち17歳で上京、慶応義塾中退。『絵入自由新聞』、『都新聞』などの主筆を歴任、次々と翻訳小説を連載し好評を博す。30歳(1892年)で「万朝報《よろずちょうほう》」を創刊。同紙に『鉄仮面』『巖窟王』『噫無情』など翻訳小説を発表する。