子どもをうまく愛せない親たち 発達障害のある親の子育て支援の現場から

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あらすじ

「子どもには愛情をかけて」
この一言がなぜ、虐待を加速させたのか――。
発達障害のある親の知られざる困難
子どもが高熱を出しても放置した親、
日常的に激しく揺さぶる虐待を加えた親……。
彼らは決して子どもを愛していなかったわけではない。
愛情の与え方が適切でなかっただけなのだ。
発達障害のある親が抱える苦悩とはどのようなものか、
豊富な実例をもとに対策を提案。
大丈夫。子育ては、愛情ではなく技術である。

(目次)
第1章 発達障害がある親たちの苦悩
発達障害=虐待ではない
「愛情をかけて」と言われ、虐待がエスカレートした事例
虐待事実をあっさり認めるが、行為をやめない事例
虐待行為の背景にある「親の発達障害」に気づく
「自分勝手なひどい親」と非難する前に など

第2章 発達障害のある子どもはなぜ虐待を受けやすいのか
わが子を愛おしいと思えない事態に
「いつも丸太ん棒を抱いているようだった」
「どうしてうちの子だけ」という強烈な不安感
孤立していく母親
発達障害の気づきにくさ
問題は、発達障害よりも自己肯定感の低下 など

第3章 発達障害の本質
(1) 知的発達症
助けを求めにくい境界知能
(2)自閉スペクトラム症
自分がどう見えるかを捉えにくい
先の見通しを持ちにくい
(3) 注意欠如多動症
不注意・多動性・衝動性をコントロールしにくい
発達障害は「本人ではどうしようもないこと」 など

第4章「社会性の欠如」という困難
授業参観で子どもを叩いたCさん
厳格すぎる対応がもたらすもの
仕事での役割を家庭に持ち込んだケース
中学生の娘と入浴したがる父親 など

第5章「コミュニケーション力の欠如」という困難
泣き声が自分を非難しているように感じたHさん
「共感する力」がないと不適切な子育てに向かう
モノでも扱うように子どもとかかわるIさん
高熱が出ていても病院に連れて行かなかったLさん
「人の表情が読み取れない」という特性
強引に離乳食を食べさせたMさん など

第6章「柔軟性の欠如」という困難
「臨機応変さ」が子育てには必須条件
子どもがやせても母乳にこだわったNさん
完璧主義で離乳食がうまく作れなかったOさん
子どもを必ず迷子にさせてしまうPさん
わが子をGPSで監視するQさん など

第7章「認知の歪み」がもたらす不適切な養育
子どもを置いて出かけ怪我をさせたTさん
妊娠を隠しわが子をゴミ箱に捨てたUさん
「この子は親の私をあざ笑っている」
度を越したわが子への期待
教育虐待につながる認知バイアス
4歳の子をベビーサークルに入れていたZさん
子どもの衰弱に気づけなかったβさん
定型発達の人も要注意 など

第8章 子育てをやり抜くための「多様性」
レトルト料理にも愛情は現れる
がんじがらめの状態を解放するもの
愛や共感が抱けなくとも子育てはできる など

第9章「科学的な子育て」が親を救う
情愛ありきの子育ては時代遅れ
「自分はできる」という感覚を身につける
ノウハウこそが逆境を越える手段となる
複雑さを排除してシンプルな子育てを目指すこと
等身大の子育てをすること
自分のものの見方を点検してみること など