父のビスコ

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あらすじ

第73回読売文学賞【随筆・紀行】受賞作待望の文庫化!

父の死。倉敷の時間。白木蓮の咲く家。

三世代の記憶を紡ぐ初めての自伝的随筆集 

「金平糖が海を渡り、四人きょうだいが赤い金平糖の取り合いっこをする日が来ていなければ、いまの自分は存在していない。もし、祖父が戦地から帰還できなかったら。もし、岡山大空襲の朝、祖母ときょうだいたちがはぐれたままだったら。もし、父の目前に落ちた射撃弾の位置がずれていたら。『もし』の連打が、私という一個の人間の存在を激しく揺さぶってくる」(『母の金平糖』より)

遠い時間の中に分け入り、生まれ育った倉敷という土地の食と風土と家族について向きあった著者の記念碑的作品。

〈目次より〉
父のどんぐり
母の金平糖
風呂とみかん
冬の鉄棒
白木蓮の家
ピンクの「つ」
ばらばらのすし
「悲しくてやりきれない」
眠狂四郎とコロッケ
流れない川
民藝ととんかつ
祖父の水筒

ほか二十四編

「旅館くらしき」創業者による幻の名随筆を同時収録。

※この作品は過去に単行本として配信されていた『父のビスコ』の文庫版となります。