依存症の人が「変わる」接し方
購入した作品の読み方あらすじ
「大人はなんでこんなにまずいものを!」
子どものころ、味見してみたお酒の味に、こう衝撃を受けた人も多いはずです。
しかし大人になるにつれ、「ひと口目のビールはたまらない」「仲間とワイワイ飲むのは楽しい」「ワインが好き」など、少しずつ感覚が変わってくる。そのうち、帰宅途中に購入し、一人でも飲むように――。
このように、最初は興味がなかったものが、徐々に生活の中心となる。そして、自分では制御できなくなる状態を「依存症」と呼びます。アルコールだけでなく、薬物、ギャンブル、痴漢行為といった、特定の物質や行為が、生活の最重要事項となってしまうのです。
依存症はその人の趣味嗜好や性質ではなく、れっきとした病気ですが、やっかいな点は、本人よりも先に周囲が気づき、心配し始めることです。本人は自分が依存していることに気づかず、何度も「もう大丈夫」「どうせしない」と言っては問題を先送りにします。
依存症の克服には、精神科医を始めとした専門機関の力が必要ですが、患者の周囲の人が依存症の本質を捉え、彼らが「見ている世界」を理解し、本人が治療に向かうようつきあい方を変えることも重要です。
また、患者の周囲の人が、患者をただ責めるのではなく、自分の人生を大切にすることも、患者を依存から遠ざける手立ての1つでもあります。
本書は、これまで7000件以上の症例を手掛けてきた依存症専門医による「薬だけに頼らない精神科医療」の具体的な方法と、患者本人と周囲の人たちに向けての幸せの創り方を紹介する内容となっています。
はじめに お酒の味はまずい
第1章 依存と依存症の違い――脳科学の視点から見た依存症
「好き」と「依存」の違いとは
物質依存症と快楽物質について――脳科学における依存となる理由①
物質依存症の最大のきっかけは「場や空間」
酩酊により人は依存する――脳科学における依存となる理由②
なぜ依存から依存症となるのか
ギャンブル依存症とはーーパチンコが好きな人は趣味?病気?
性依存症と性欲は無関係――射精を目的に痴漢する人はいない
実は釣りも登山も「依存状態」
「行為依存症」の本質は、「チャレンジ依存症」
否認の恐ろしさ 依存症ごとの否認の思考回路
依存症治療は2つの軸で行う――やめたい自分とやりたい自分
やめたい自分VSやりたい自分――依存症治療は「歯磨き」と同じ
コラム お酒と煙草、脳に悪いのはどっち
第2章 ストレス解消の罠――心理学の視点から見た依存症
人間は「欲しい感情」を求める生き物
アルコール依存症と患者ミーティングについて――なぜミーティングが大切なのか
ギャンブル依存や性依存にミーティングは向かない?
コラム アルコールとの関係からみる、依存症の歴史
第3章 依存症の種類
物質への依存
行為への依存
関係性への依存
コラム セックス依存症という病の“真相”
第4章 依存症になると……事例を紹介
薬物・アルコール依存症の症例
対応例 物質依存の目的は「気分転換」「安心」の獲得
アルコール依存症の死因の多くは“餓死”
減酒薬から開始するという方法もある
薬物依存症は受け入れ機関が限られている
ギャンブル依存症の症例
対応例 取り返すため、という否認を壊すには
欲しい感情は「正義と自由」
「依存症か否か」は横に置いておく
どうやって受診を促すのか
性依存症の症例
対応例 性依存症と買い物依存症の共通点
関係性への依存 ホスト・コンカフェ依存――世間を騒がせている新たな依存症
風俗店や出会い系の依存
どうやって受診を促すのか
コラム