セルとタケル 「生きているとは何か」を巡るダイアローグ

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あらすじ

本書に一貫して流れるアイデアは、生命がさまざまな外界の変化に抗して、ホメオスタシスを維持し続けるシステムであるということである。
血圧、脈拍、体温などのバイタルサインから血液中の栄養素や電解質などにいたるまで、からだのどこかで常に監視がおこなわれ、外れ値を復元・復旧しているのである。
このホメオスタシスが正常に作動しているうちは、健康ということであり、その生理学的な仕組みを概説した。
また、ホメオスタシスを失調させる三つの要因として、遺伝要因、生活習慣要因(肥満、多量飲酒、喫煙)、環境要因(ストレス、マイクロバイオータ、活性酸素・フリーラジカル)を取り上げて概説した。

一般の読者を対象に書いた医学小説である。
筆者の人生を主人公タケルに重ね合わせ、生命の「生きる力」にずっと疑問を抱き続けてきたタケルの人生をとおして、これまで蓄積してきた知識を小説に再構成したものである。
難解なマクロ世界の現象をタケルに、ミクロ世界の現象をタケルの細胞のひとつであるセルに説明してもらい、ホメオスタシスを題材としたセルとタケルのクロストークとなっている。
(著者まえがきより)