ゴジラ幻論 日本産怪獣類の一般と個別の博物誌

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あらすじ

妄想から科学へ 「シン・ゴジラ」vs. 進化発生学

2016年、東京に上陸し、丸の内で活動を停止した巨大不明生物、通称「ゴジラ」。従来の生物学の知見では単純に説明することのできない生態、形態、発生プロセスの謎に、進化発生学者が挑む。 「シン・ゴジラ」に登場する女性科学者のレポートや、1954年初代「ゴジラ」の山根恭平博士の孫による講演記録など、科学的知識と虚構が入り交じる一書。

【目次】
第一章 「ゴジラ生物学会特別紀要」より:巨大不明生物の起源
【基調講演】「シン・ゴジラ」に確認された新事象をめぐって 第一部 山根恭太郎
【基調講演】「シン・ゴジラ」に確認された新事象をめぐって 第二部 山根恭太郎
【緊急レポート】巨大不明生物に関する形態発生学的アプローチ 尾頭ヒロミ
【ゴジラ問題調査委員会中間報告書】牧悟郎博士の日記

第二章 個別の博物誌:ゴジラ生態圏をめぐる四つの報告書
四足歩行怪獣アンギラスの形態学的特徴とその進化的起源 山根恭平
モスラの昆虫形態学と分類学について 杉本是也
怪獣バランと秘境の蝶 杉本是也
ラドンとメガヌロン 柏木久一郎

第三章 怪獣多様化の時代をめぐる随想:一九六〇年代の「ワンダフル・ライフ」
怪獣の住む世界 1964-1966
特撮大好きオヤジのぼやき
ゴジラの変貌―「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」考
怪獣残酷物語―私を戦慄させた怪獣たち
映画に見る生物学的イメージ
モンスターと自然観
昭和人間ドラマの魅力
SFのフィルム・ノワール
異界からの侵犯
Qの終焉

【著者】
倉谷滋
1958年、大阪府出身。京都大学大学院博士課程修了、理学博士。米国ジョージア大学、ベイラー医科大学への留学の後、熊本大学医学助教授、岡山大学理学部教授を経て、現在、理化学研究所名誉研究員。主な研究テーマは、「脊椎動物頭部の起源と進化」、「カメの甲をもたらした発生プログラムの進化」、「脊椎動物筋骨格系の進化」など。
主な著書に、『形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ』丸善出版(2015)、『分節幻想』工作舎(2016)、『新版・動物進化形態学』東京大学出版会(2017)などがある。