失恋確定の錬金術師は人魚を恋に落としたい【前編】
購入した作品の読み方あらすじ
人魚の涙。それは恋をした人魚が流す涙が宝石になったもの。
ラナ・クラークは薬品作りを主な仕事にしながら、森の中で一人細々と生活をしている錬金術師だ。そんなラナの元にある日、呪いにかかった幼馴染が助けを求めてきた。稀有な呪いの解呪に手を貸すことになったラナは、秘薬の精製に必要な素材の一つ、人魚の涙を手に入れるため、昔一度だけ訪れたことがある海蝕洞へと向かう。そうして、ようやくたどり着いた洞窟の中、ラナは湖のような潮だまりで陸に腰掛けた髪の長い男の後ろ姿を見付けた。ラナの朧気な記憶よりもずっと眉目秀麗の凛とした佳人の姿だった。男の下半身は滑らかな鱗に覆われており、尾ひれが付いている。人間ではない、なによりの証。そう、男は人魚である。そしてラナの片思いの相手。―胸の高鳴りを誤魔化すため、ラナは男に向かって叫んだ。
「あの……泣いてもらえませんか!?」
そんな突然の願いに、フィーリオと名乗る人魚は思わぬ提案をしてきて…!?