精神の生活
あらすじ
この痛みを何と呼んだらいいのか? 「流産」というテーマを克明かつ赤裸々に描いた傑作小説。
このままならない身体とのつきあい方を、誰も教えてくれない。トイレの個室で不安をひとり抱きしめているひとがいる。そこで何が起こっているか、あなたは本当に知っているだろうか。────────永井玲衣(哲学研究者/『水中の哲学者たち』)
この痛みを何と呼んだらいいのか? 「流産」というテーマを克明かつ赤裸々に描いた傑作小説。
不安定な地位にある大学非常勤講師のドロシーは、図書館のトイレで出血を確認する。流産したことを親友にも母親にも打ち明けることはできない。大学で講義し、セラピーに通い、産婦人科を訪れるが、どこにいても何をしていても世界から認めてもらえない気がしてしまう。3月の終わりからの1ヶ月半、予測不能なキャリアのなかで、自分の身体に起きた「流産」という不可解な出来事と知性によってなんとか折り合いをつけていく。
「TIME」年間トップテン・フィクション(2021年)選出!
【目次】
三月の終わり
その翌日
五日後
数週間後
翌週の土曜の夜
十日後
日本の読者への手紙
訳者解説
【著者】
クリスティン・スモールウッド
2014年にコロンビア大学で英文学の博士号を取得し、これまで5本の短編小説をThe Paris Review、n+1、Vice などの文芸誌で発表している。また数多くの書評やエッセイをThe New Yorker、Bookforum、The New York Times Magazine、Harper’s Magazine 等に寄稿する批評家でもある。現在、ブルックリンに夫と二人の息子と住んでいる。
佐藤直子
東京都内の大学で非常勤講師として英語を教えている。現代アメリカ小説における「偶然性」のテーマに関心がある。