いいえ私は幻の女

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あらすじ

忘れられたら楽なのに――。
傷ついた言葉。消せない過ち。ふたりだけの約束。
すべてなかったことにしよう。この人生が変わるなら。
ミステリーの新鋭が贈る、奇妙であたたかな“忘れられない”物語。

小江戸川越の街にひっそりと佇む「Memory」は、“記憶を消してくれる”カフェ。不思議な力を持つ家入蘭のもとに、過去の失恋やトラウマに苦しむ人々が、今日も引き寄せられるようにやってくる。
最愛の人に先立たれ生きる気力をなくした坂下麻季は、自分のことは忘れてほしいという亡き恋人の遺志にしたがい、Memoryを訪れた。
記憶が完全に消去されるまでの間、川越の街をぶらつく麻季。そこに死んだはずの恋人が現れて……。
麻季の最後のデートを描いた「あなたに似た人」や、表題作「いいえ私は幻の女」のほか、驚きと感動せまる追憶の物語集。