無数のひとりが紡ぐ歴史 日記文化から近現代日本を照射する

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あらすじ

人間の書くことの歴史と文化を考え、過去を生きた、無数の人々が紡いだ歴史の意味を問う。
過去を生きた未知の人々の小さな歴史に向きあい、書かれた言葉の向こう側に想像力を働かせながら、より大きな歴史との異なりや繋がりを実践的に検証していく書。

全体を、「モノとしての日記・家計簿・手帳の文化史」、「読者を意識した自己の真実性」、「自己を語り直す--日記・私小説・自伝・回想録」、「無数のひとりに出会う」の四部で構成する。

本来ならば絶対に関わらない他者の日記を時代を超えて読むことには、一体どういう意味があるのか。書かれた内容を鵜呑みにできず、一筋縄ではいかない日記という史料にいかに向き合うべきなのか。モノ・行為・史料の視座から掘り下げ、人はなぜ日記を綴るのかという根源的な問いへの向きあい方をも考えていく、最先端の「日記文化」研究。

執筆は、田中祐介/柿本真代/河内聡子/鬼頭篤史/志良堂正史/竹内瑞穂/堤ひろゆき/徳山倫子/大木志門/西田昌之/大岡響子/大川史織/吉見義明/山田鮎美/島利栄子。

【日記は読み手に都合の良い論証の材料ではなく、未知の他者との出会いであり、新鮮な問いが様々に生まれる磁場である。書き手の人格と人生に敬意を払いながら、紙面に留められた言葉のひとつひとつに向きあい、予見を排して慎重に読み解く。そうすることで過去の言葉は再び生彩を放ち、現在の読者の言葉と思考を揺るがし、再考を促すであろう。すなわち日記の読み解きを通じて出会うのは、社会的属性や特定の歴史経験に還元され得ない個別的な他者、換言すれば無数のひとりにほかならない。】......「総論 「日記文化」を掘り下げ、歴史を照射する」より