博学者

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あらすじ

「全知全能の情熱が世界を動かした」

レオナルド・ダ・ヴィンチからスーザン・ソンタグまで。

情報量の爆発的増加、知識の断片化、押し寄せる専門家の波ーー
幾度の危機を乗り越え、いかに博学者は生き残ったか。
文化史家の重鎮ピータ・バークが、15世紀から21世紀の西欧で活躍した約500人の伝記を検証し、知識の社会的な動向を記した大著。
知ることに取り憑かれた者たちの肖像と、その大いなる冒険。

・哲学という語を創造した最古の博学者ピュタゴラス
・万能なのにいつも仕事は未完のレオナルド・ダ・ヴィンチ
・華やぐ宮廷でニュートンを翻訳したシャトレ侯爵夫人
・中国のライプニッツと賞賛された博識の沈括
・透視図法の発明だけでなく何でも知っていたブルネレスキ
・哲学者デカルトが家庭教師をしたクリスティーナ女王
・生涯独身であらゆる知識に通じた修道女フアナ
・万余の文通で知識を得たペーレスク
・経済学だけでなく文藝や天文学史を著述したアダム・スミス
・スーザン・ソンタグは博学にして批評家


「博学者は歴史のなかで冷遇されている」と言われてきた。「ある者は忘れ去られ、多くはわれわれが分かるような部類に無理に押し込められている」。これから幾度も述べることになるけれども、博学者はその多彩な偉業のうちのほんの一つかそこらでしか人の記憶に残らない。今こそ、この偏ったあつかいをただす時だろう。実際のところ、専門家文化にあらがって、個々の博学者について近年多くの研究が積み重ねられており、その数は増えつつある。私はこれまでこれらの論文の多くを、感謝の念を抱きつつ利用させて頂いた。その中にはレオナルドやライプニッツのような知の巨人ばかりでなく、デュモン・デュルヴィルやウィリアム・リーズの如き半ば忘れられた人物も含まれる。だが博学者全般をあつかった研究を見つけるのは容易でない。確かに研究の数は増えてはいるけれど、専門誌やラジオ番組でほんの少し扱われるくらいである。
(序章「博学者とは何か」より)