絵巻 シベリア抑留者の想い出 ~満州での軍隊生活、そしてシベリア抑留での強制労働~
あらすじ
満州で軍隊生活を送り、
敗戦後シベリア抑留を体験した著者は、
その経験を絵巻物として遺した。
その絵巻物を原典のまま書籍化。
いつ内地に帰れるのだろう
このシベリアでは絶対に死にたくない
32メートルの絵巻物として保存された郵便局勤務だった若者の記録
戦後77年、約60万人のシベリア抑留体験者の多くが亡くなり、
さまざまな経験が風化しつつあるなかで、貴重な史料的価値がある本書。
ウクライナへのロシア侵攻が深刻な事態を迎えている今、
戦争の現実とはどういうものかを多くの読者に伝える、時宜に見合った書籍といえる。
■目次
●第一章 夢多き学生時代から軍隊へ
●第二章 厳しかった満州軍隊
●第三章 終戦からシベリアの抑留・強制労働
●シベリア抑留についての解説・資料編
・シベリア抑留とは何だったのか 有光健
・戦争は最大の罪悪である。しかし・・・・ 中島裕
・シベリア抑留の女性たち 渡辺えり
・父にシベリア抑留談とロシアの侵攻 小林玄徳
・戦争体験を風化させないために 田所智子
・おわりに 絵巻物のレプリカ作成を手掛けて教えられた残酷な戦争
■画と文 澤田精之助(さわだ・せいのすけ)
1921年、山形県村山市楯岡生まれ。楯岡町役場勤務を経て仙台逓信講習所入学。
1941年に徴兵、1942 年に満州黒河省に下士官候補生として奉天第549 通信教育隊に配属される。
1945 年の敗戦後、シベリア抑留。シベリア鉄道でカラガンダ収容所に送致され炭鉱で働く。
1948 年、舞鶴に帰還後、山形県村山市村山郵便局に勤務。
復員後、書道を為し、1975 年には第2回山形県総合書道展で最初の県知事賞を受賞。
『シベリア抑留者の想い出』の制作を継続し、1984 年に完成させる。1985 年没。
■編者 下山礼子
1950 年、山形県村山市楯岡生まれ。澤田精之助の姪。
10 歳の時に父と観た映画『人間の條件』(小林正樹監督)に描かれた「戦争における人間性」に衝撃を受ける。
学生時代には遠く離れたシベリア鉄道の旅に思いを馳せた。
2015 年、澤田精之助作の絵巻物に出会い、シベリア抑留の史実に触れ、叔父と父からの大切なメッセージに気づく。
2019 年、自宅(澤田精之助の生家に隣接)に「小さな小さな平和祈念館」を開設。
「命・戦争・平和」について語り継ぐ活動を続けている。