間違いの喜劇

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あらすじ

シリーズ〈No. 8〉は『間違いの喜劇』である。作品の原典は古代ローマの喜劇『メナエクムス兄弟』で、双子の兄弟が巻き起こす混乱が描かれている。シェイクスピアの作品の中には、滑稽な笑いだけでなく、アイデンティティの問題、人は他人により定義される可能性があること、正気と狂気の違いと、その差、基準は何なのか、夫婦の問題など、泣き笑いの昔の松竹新喜劇、渋谷天外、藤山寛美の絶妙なやり取りが心をよぎる。主要なテーマは「離れたもの/失われたもの」が神の導きによって「一つ」に戻り、「幸せ」が復活する(親子、兄弟、夫婦が本来あるべき姿に立ち返る)というものだ。悲劇では、幕切れは破壊だが、喜劇は和解で終わる。喜劇か悲劇か、どちらがいいか、そんな問題ではない。人の世は喜劇であり悲劇でもある。シェイクスピアの作品は、深いところでそれを教えてくれる。この作品に於いても心ある読者には多くの「学び」がある。