つぶやく現代の短歌史 1985-2021 「口語化」する短歌の言葉と心を読みとく

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あらすじ

1985年の俵万智の登場以降の現代の短歌を、歌人にして社会学者が、年代ごと、世代ごとに読みといてゆく

だいたい1980年代以降について、さまざまな時評や座談会等はあるにせよ、短歌史は書かれることがなかった。
その理由は、菱川善夫、篠弘の仕事が一段落したこと、また社会や歴史などの「大きな物語」へ人々の関心が向かなくなったこと、によるだろう。
しかし1980年代半ばに俵万智が登場し、後述する「口語化」が進行していった歴史は短歌史の中でそれなりに重要であった。そして何よりも歌を詠み、読むにあたってはやはりその歴史を問い続けなければいけない・・・・・・。(「序章」より)

【目次】
序章 現代短歌史研究のために
一章 1985年以降の1980年代――「ライトな私」とバブル経済
二章 1990年代――「わがままな私」とバブル経済の崩壊
三章 2000年代――「かけがえのない私」と失われた20年
四章 2010~2021年――「つぶやく私」と大震災・コロナ禍という文明災害
補章 現代短歌のカリスマ歌人――岡井隆と馬場あき子
五章 社会調査で検証する現代の短歌と歌人
終章「口語化」の諸局面とジェンダー、システム化、合理化の問題

【著者】
大野道夫
1956(昭和31)年神奈川県生れ、児童期に曾祖父の佐佐木信綱と出会い文学を志望する。75年東京大学入学、一留して80年同大学大学院(教育社会学専修)進学。92年仏教系大学の社会学教員として就職。
1984年竹柏会「心の花」入会、のちに編集委員、選歌委員となる。89年「思想兵・岡井隆の軌跡」で第7回現代短歌評論賞受賞。