ニッチ企業は理念で生き残る
あらすじ
会社の売上50%アップ!
創業50年、変化のなかったろ過布の会社が企業理念を作り直し、生まれ変わった
企業理念を見直し、自社の存在意義を社員と共有する――
社員を巻き込み、新規事業を進めてグローバル進出を可能にした、
ニッチ企業2代目社長の経営哲学とは
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大手企業や競合他社との競争を避け、ニッチトップ戦略を取る中小企業は少なくありません。
参入の少ない小さな市場を独占し、安定した利益獲得を目指す戦略ですが、
近年は技術革新や環境変化のスピードが速まっており、ニッチ市場でトップを取れば
長期にわたって安泰というわけではなくなっています。これまで高いシェアを誇っていた
ニッチ市場に新たな競合が生まれたり、顧客ニーズの変化によって市場そのものが
明日には消えてしまったりするリスクに常にさらされているのです。
ニッチトップ戦略を取る中小企業も、他分野への進出や常に変化に柔軟に対応できる
組織の適応力が必要とされています。しかし長年変化のなかった組織では、
新規市場参入など柔軟な変更に対して社員から反発を受けることも少なくありません。
創業者である父の後を継ぎ、2代目社長として著者が経営する会社は
「ろ過布」を製造するニッチトップ企業でした。1973年の創業以来、
大手の参入しないニッチ市場にありましたが、変化が激しい時代において、
この先もずっと市場が存在し続けるとは限らないと、著者は危機感を抱いていました。
そこで、自社の事業分野を広げようと考えたものの、新たな顧客開拓と製品開発に
挑むことに、社員たちからは強い反発を受けてしまいます。
著者は社員の理解を得るために、まず企業理念を明確にし、なぜ事業形態を変える
必要があるかを動画で伝えるなど、さまざまな工夫をして意識改革を進めました。
メーカーとして自社の強みを活かしてできることは何か、新たに挑戦できる分野は
ないのかといったことを社員に投げかけるとともに、自らも必死に経営を学び、
自分なりの経営哲学へと発展させていったのです。
こうした努力を続けることで、組織が一つにまとまり、社員一人ひとりが自発的に
自社について考え動けるように変わっていったといいます。結果、著者の会社は
社員主導による新規事業の立ち上げを実現させ、海外事業を進められるほどに成長してきました。
本書では、長年変化のなかったニッチ企業で、どのようにして社員の意識を変え、
新たに海外事業を展開するまでに至ったかを紹介しながら、組織改革の要点をまとめています。
変化の必要を感じながらも停滞から抜け出せずにいるニッチ企業の経営者にとって、変革のヒントとなる一冊です。
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