星霜を渡る
あらすじ
ジュエリーに宿る想い・物語を次世代につなぐ
世界で一つの特別なジュエリーを届けたい――。
ジュエリーリフォーム事業に注力し、
業界でのニッチトップを確立した社長の軌跡
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ジュエリーの価値とは何か――。
そう問われると、美しさや宝石の希少性を挙げる人が多いと思います。
しかし著者は、ジュエリーには見た目の美しさや金額で示される価値だけでなく、
目には見えない価値が存在すると考えています。
ジュエリーを購入するとき、多くの人は何らかの理由をもっています。
恋人への愛の証として、自分や家族が人生の節目を迎えたときの記念としてなど、
ジュエリーには強い想いや特別な物語が宿っているのです。
著者がその価値に気づいたのはがんを患い、治療後、再発に怯える日々のなかでした。
著者が経営する貴金属・宝飾品の製造会社では、
もともと指輪の空枠(宝石を留める前の状態の枠)の製作などを行っていました。
しかし宝飾品市場が縮小し、これまでどおり事業を続けるだけでは生き残ることが
難しくなったことから、古いジュエリーを形やデザインを変えて作り直す
ジュエリーリフォームにも着手するようになります。
そうしたなかで著者は41歳のとき、突然のがん告知を受けます。
絶望の淵に立たされた著者がそれを乗り越えるきっかけとなったのは、
自身のマリッジリングの存在でした。夫婦の絆・互いの想いが込められたリングが、
再発の恐怖に怯える闘病の日々を支えてくれました。その体験のおかげで、
心をつなぐジュエリーの本当の価値に気づかされたのです。
そして、ジュエリーリフォームはジュエリーに込められた想いを蘇らせ時を越えて
つないでいくことができる、非常に意義のある事業だと考えるようになりました。
その後は、それまで以上にジュエリーリフォーム事業に力を入れるようになります。
ただ顧客の要望を聞くだけでなく、リフォームを希望する理由やそのジュエリーに
まつわる思い出などを丁寧にヒアリングすることを社員たちに徹底したのです。
また、ジュエリーに込められた想いを形にできるよう、デザイン力や技術力の
向上にも注力しました。そのような取り組みが顧客の信頼を得ることにつながり、
著者は顧客数を増やして事業を成長させていくことができたのです。
本書では著者がジュエリーリフォーム事業を始め、
その後がん闘病を経て事業の価値を見直した経緯や、どのように事業を
発展させてきたのかなど、これまでの歩みをまとめています。
ジュエリーやジュエリーリフォームのもつ価値と魅力を伝えるとともに、
宝飾品業界に限らず成長を目指して奮闘する経営者にとって
新たな展開へ踏み出すためのヒントが得られる一冊です。
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