福祉の起原

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あらすじ

戦争と福祉のはざまでくり返しやって来る「起原」。困難を乗り越えるための可能性を掴み直すには何が必要か

紙版の出版元は弦書房。人々の心が、ある種の絆を求めているにもかかわらず、戦争や疫病などによって分断されていく。この複雑な世界で、さまざまな問題に接するとき、その解は、現実に与えられた選択肢だけではなく、その外側にもあるのではないか。戦争と福祉のはざまで、未来への起点となる「起原」は何度もくり返しやって来る。本書は、その可能性を見逃さず、つかみ直すために、「銀河鉄道の夜」「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」を手がかりに、私たちに何が必要なのかを示す刺激的な一冊。

【目次】
序 章 ゴーギャンの三つの問い

第一章 「福祉の起原」―起源と起原
起原をめぐる問い―なぜ「歴史」ではなく「起原」なのか
「福祉」の語源をさかのぼる
「福祉」を定義する二つの方法―エスピン=アンデルセンの『福祉資本主義の三つの世界』をめぐって
介護と福祉の社会化はどこへ向かうか―「宅老所よりあい・よりあいの森」から考える


第二章 戦うことと戦う
「プラハの春」と「言葉と戦車」
投下と回心―イスクラ(火花)の行方
戦争をくぐりぬける―ヴィトゲンシュタインと「戦争」

第三章 起原のあとの未来
銀河鉄道という謎
「雨ニモマケズ」のほうへ
選択肢の外にある可能性
失われた可能性を求めて―あとがきにかえて

【著者】
安立清史
1957年、群馬県生まれ。九州大学・大学院人間環境学研究院・共生社会学講座・教授。専門は、福祉社会学、ボランティア・NPO論。著書に、『超高齢社会の乗り越え方』『21世紀の〈想像の共同体〉』『ボランティアと有償ボランティア』(以上、弦書房)『ニューエイジング: 日米の挑戦と課題』(共著、九州大学出版会、2001)、『高齢者NPOが社会を変える』(共著、岩波書店、2000)、『市民福祉の社会学――高齢化・福祉改革・NPO』(ハーベスト社、1998)など。