グローカルな社会・時代における算数数学教育

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あらすじ

本書のテーマは「グローバル化の時代における数学教育を、学校教育およびその取り巻く環境の中で実際に起きていることから再検討すること」 である。「グローバル化」と「数学教育」という言葉に注目すると、グローバル化は世界中に広がっている状態・変化を指し、ある意味での普遍性を包含している。数学は最も普遍的な学問と言われている。両者はシノニム(類義語)のように当然結びついているが、そこに教育が介在することで、単なる普遍性を希求するのではない、教育ならではの子どもの成長過程に寄り添う必要性が見えてくる。



例えば 21 世 紀スキルとして提示された今日的な能力観では、論理的な思考、創造的な思考など、数学教育の果たす役割は大きい。その一方、市民が暮らすという意味での各地域は、都市圏、地方都市、町村、へき地とさまざまで、それぞれの事情を抱えており、その事情に応じた数学教育は必ずしも普遍的とは限らないはずである。



本書では「グローバル化」という言葉を 一方向的、一面的に見るのではなく、実際に起きていることからその言葉が含意する多様性を取り上げるものである。その上で、それら多様性の下に底流する共通性も取り上げたい。 若手研究者を含めた、総勢13名による海外経験が豊富な執筆陣による算数数学教育の地平を拓く書である。