なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか? 本土優先、沖縄劣後の構造
あらすじ
基地と貧困の公正で民主的な一体的解決をめざす提案の書
「本土復帰」から50年を経てもなお、いまだに基地と貧困が集中している沖縄。
安全保障のためには基地の集中は仕方ないという、一方的な主張に加え、近年、沖縄の貧困問題は、沖縄の人びとの文化や性質に原因があるとする自己責任論が増えてきた。
本書では、このような主張に対して真正面から対峙する。
沖縄の基地問題と貧困問題に共通する原因として、「本土優先―沖縄劣後」という差別構造によりつくられた「自由の不平等」に焦点をあて、基地と貧困の公正で民主的な一体的解決をめざす提案の書。
【目次】
第1章/貧困問題と基地問題を貫く差別の問題
第2章/沖縄の基地問題の歴史と課題
第3章/沖縄の貧困問題の歴史と課題
第4章/平等と平和
第5章/沖縄論の変遷
補論1/現代的レイシズム論からみた沖縄
第6章/新しい提案
補論2/日本国憲法には「平等権」が保障されていない?
第7章/シティズンシップを求めるアイデンティティ・ポリティクス
第8章/沖縄の貧困問題と基地問題の一体的解決を目指して
【著者】
安里 長従
沖縄県石垣市出身、司法書士。沖縄国際大学非常勤講師。石垣市住民投票裁判原告弁護団事務局。「辺野古」県民投票の会元副代表。沖縄生活保護基準引下げに基づく保護費(減額)処分取消請求裁判原告弁護団事務局。
基地問題などに関心を持ったのは、2002年に司法書士となり多重債務者の対応などをしているなかで沖縄の構造的な問題に気づいたのがきっかけ。それ以来、「基地」と「貧困」の一体的な解決を求めて活動を続けている。
志賀 信夫
県立広島大学保健福祉学部准教授
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)など。