ショーロはこうして誕生した

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あらすじ

ブラジル・ポピュラー音楽の原点についての
名著の本邦初訳!

原書は1936 年、リオで出版。著者による口述筆記。
約四十年にわたる音楽活動の覚書である。

登場する仲間の活動領域はセントラル駅を中心として半径2キロ。
百年前の旧市街地に生きた彼らの横顔や住民たちのダンスパーティ
の様子が活写される。
ポルトガルの植民地だったブラジルは1807 年、ナポレオン軍の進撃
によりポルトガル王朝が貴族とともにリスボンからリオに逃れ、
ブラジルは王のいる国土に昇格。
ナポレオンの没落後、王朝がリスボンに戻ると
ブラジルで殖産する有力者とポルトガル本国との対立が始まり、
結果、ブラジルが1822 年、
残されていたポルトガル王太子を王として擁立し独立。
独立から1888 年の共和制樹立までがブラジルの揺籃期である。

本書では王制末期から共和制樹立を経てラジオの時代の
始まりまで語られる。
音楽好きには「ショーロ」は
サンバに先行するブラジル器楽音楽の源流であるだろう。
ショーロ・ファンにとっては単なるノスタルジーでは断じてなく、
いまだ生成を続けるブラジル音楽の生きた聖典である。
アニマルの時代にはジャズやシャンソンといったような
音楽ジャンルとしての「ショーロ」はまだ確立していなかった。
彼は主に演奏スタイル、あるいはミュージシャンの生き方として
「ショーロ」という言葉を使っている。
失われた風俗、馴染みのない事件、地名等が多く見受けられるが、
現代の読者の利便性を考慮して注釈と原書にはない章番号を
付した。