アジア太平洋戦争新聞

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あらすじ

今年(2021年)9月18日は、日中戦争の発端となった満州事変が起きてから
90周年にあたる日でした。そして12月8日は、太平洋戦争の開始となった
真珠湾奇襲攻撃・マレー侵攻から80周年にあたります。
太平洋戦争は1941年(昭和16年)に突然始まったものではありません。
そこには「暴支膺懲」という尊大なスローガンで臨んだ中国との戦争、
さらには東南アジアを占領して、欧米の植民国家に代わって日本が盟主となる
という妄執(大東亜共栄圏)が、その初まりにありました。

本書は、満州事変以降、15年にもわたる一連の戦争を振り返りながら、
日本が国を挙げて戦争へとひたすらに突き進む過程と、最後は銃後の民間人まで
巻き込ながら無条件降伏に至るまでを、「新聞形式」のスタイルを通して
時々刻々と描くものです。
日中戦争・太平洋戦争をテーマにした書籍は、ともすれば前述した満州事変や
真珠湾攻撃を初め、満州国の建設、ミッドウェー海戦、東京大空襲、原爆投下
といった重大な局面がフィーチャーされるのが常ですが、
本書では戦争が長期化する中での「銃後の暮らし」の様子も数多く取り上げました。

1938(昭和13)年4月の「国家総動員法」公布によって、人的・物的資源の全てを
国家が全面的に統制できるようになると、民間人の生活も戦争に密着にしたものと
なります。やがてそれは衣料や食糧の配給制度、軍需工場への動員、「建物疎開」
「学童疎開」へと続いていきます。それでも、作家の吉村昭はこう書いています。
「戦争は一部の者がたしかに煽動してひき起したものかも知れないが、
戦争を根強く持続させたのは、やはり無数の人間たちであったにちがいない」
(『戦艦武蔵』)。満州事変から90年、真珠湾奇襲攻撃・マレー侵攻から80年を
迎えた今だからこそ、日本と日本人が選んだ「戦争」をもう一度見つめ直す
学びの機会として、本書は刊行されるのです。