真珠湾の代償

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あらすじ

「二〇世紀は戦争と革命の世紀であった。世界がこれほどの全地球的な規模で激動に揺さぶられた世紀はかつて無いであろう。二度に及ぶ世界大戦の未曾有の惨害は、人類史に深刻な傷跡を残したが、とりわけ第二次世界大戦に日本が敗れたことは、日本の国家のあり方を根底から変えてしまうほどの衝撃を及ぼした。これは日本の歴史上、明治維新に匹敵するほどの大事件だったといってよい。
第二次世界大戦の一角をなす、日本が戦った大東亜戦争。この大東亜戦争と激動の昭和史を自己の一身で象徴できる一人の人物がいる。その名を加瀬俊一(かせとしかず)という。
加瀬俊一は昭和の年号が明けたのとほぼ同時期に、その輝かしい経歴と青年期をスタートさせ、昭和二〇年九月二日、東京湾に浮かぶ米戦艦ミズーリ号上で使節団員の一人として日本降伏に立ち会うまでの二〇年間、日本外交の中枢にあって、日本の、いや世界の歴史の生き証人となった。日本の運命を決した数々の局面に立ち会い、関わり、四二歳の男盛りで、精鋭の外交官として文字通り身命を賭して終戦工作に携わった。その意味において、彼の生きざまそのものの中に激動の昭和史が集約されているといってよい……」(福井雄三東京国際大学教授、本書序文より)

※本書は2020年毎日ワンズ刊『開戦と終戦をアメリカに発した男』を改題、新書化したものです。