リトル・ゾンビガール

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あらすじ

「一歩をふみ出せば、世界はどんどん姿をかえていくのかもしれない」
分断が進むこの社会で、“他者を知ること”の意味を伝える心温まる物語。

いまから約200年前、互いの生き残りをかけて人間とゾンビは戦争を繰り広げた。戦いに敗れたゾンビたちはわずかな数を残して森の奥へ逃げて以来、人間に一切干渉しないことで自分たちの生活を保ってきた。一方で人間たちは、ゾンビは絶滅したと思い込み、時の経過とともに戦争は風化され、「ゾンビは怖い」程度の認識を持ちながら平和に暮らしていた。
そんなある日、ゾンビたちが住む森を商業施設として開発しようと、人間たちが森に足を踏み入れた。戦争を忘れず、「人間は冷酷だ」と語り継がれてきたゾンビたちは、自分たちの暮らしを脅かされると思って怒り、人間に復讐しようと立ち上がる。
このまま人間とゾンビの全面戦争は避けられないのか!? 異なる世界に生きる人間とゾンビが共存する道は、ゾンビの少女・ノノと人間の少年・ショウの二人に託される――。

本書は、NHKみんなのうたミュージカル「リトル・ゾンビガール」の脚本家みずからが、物語の世界観や登場人物たちの心の動きなどを丁寧に掘り下げ、オリジナリティー豊かに描いた書き下ろし小説。
少年少女たちの心の交流を描いた児童文学として、「どうすれば、ゾンビの少女と人間の少年が友だちになれるのか」という純粋な願いを投げかけます。その根底には、「相手を知り、異なる価値観を認め合う」という、いままさに世界中の人々が直面する普遍的かつ切実なテーマが流れています。
世界中で格差が広がり、分断が進み、多様性のあり方が問われるいま、子どもだけでなく大人もまた自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる本書は、読後にじんわりと温かい気持ちが宿るハートフルストーリーです。