小説 西海屋騒動

購入した作品の読み方

あらすじ

人生そのものが
博打なんだよ

転がる賽に金は生えぬ
罪深き人
欲求は満たされる事を知らない
――――柳亭左龍

てめえらは、何度俺から奪えばそれで気が済むんだ。
軽井沢の有名旅籠の次男として育った理吉。裕福な環境で恵まれた生活を送っていたものの、なぜか家族との距離を感じ、心はいつも満たされずにいた。そうした心の飢えを埋めるかのように兄・新吉のものをくすねては、新吉と喧嘩になる毎日。やがて新吉は侠の世界に飛び出すが、理吉は家業の手伝いをするのみ。旅籠の下働きの定丸に誘われるままに、博打を覚えたがために家を追われ、西海屋に流れ着く。番頭の慶蔵のもとで頭角を現すが……業と欲に呑まれ、因縁に絡み取られていく――

因果と侠の中で揺れ、流転と転落の男の物語――小説 古典落語シリーズ第4弾!

松浦シオリ・装画