アローナの嫁取り祭り【分冊版】 副団長補佐と図書館司書

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あらすじ

砦を抱き、騎士が駐屯する国境の街・アローナの収穫祭は、「嫁取り祭り」ともいわれている。祭りの日に想いが通じ合った二人は、生涯仲睦まじく暮らせるという。アローナの宵祭りをめぐる市井の男女の恋の行方。

砦の図書館は、アローナの街の人々にも開放されている。図書館の責任者は騎士団の副団長だが、司書は民間人から登用している。そして二年前にやってきたのが、妙齢の女性エリナだった。副団長から彼女を不埒な輩から守るという密命も申し付かったバーナードは、読書家であることも幸いして図書館に足繁く通って睨みをきかせている。おかげでエリナは司書としての能力を遺憾なく発揮することができ、蔵書数も利用者も増えて、街の人たちから愛される図書館になった。元来本好きのバーナードとエリナは、本の話題を通じて距離を縮めていき、お互いに好意を寄せるように……。バーナードはエリナの気持ちに確信をもっているわけではなかったが、いつか時が来れば想いを告げるつもりでいた。だが、半月後に祭りを控えたその日、バーナードはエリナから突然、図書館を辞めて嫁に行かねばならなくなったと告げられる――