血と炎の京 私本・応仁の乱
朝松健 950円
あらすじ
行間から血の匂いが立ち上ってくるかのような迫力。
応仁の乱を描いた小説中の最高峰だ。――田中芳樹
応仁の乱――それは地獄の戦さだった。
かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。
連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。
日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。
そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。
行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。
額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。
男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。
しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。
一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、
渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。
京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。
その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。