メアリ・ポピンズ
あらすじ
空から風にのってやってきた、メアリ・ポピンズと不思議な世界へ。
安野光雅が描く、美しい絵の中へ遊びにゆきます。
ある日、ロンドンの美しい桜通りに住むバンクス家に、こうもり傘を差した乳母、メアリ・
ポピンズが東風にのって現れます。彼女がやってきてから、子どもたちは大喜び。指をぱ
ちんと鳴らすと、魔法がかかったように散らかった部屋が片づき、不思議な鞄からは何で
も出てきます。大道芸人の描く絵の中に入って遊んだり、空中に浮いたままお茶会を楽しんだり……。
日常の風景から、いつの間にか不思議な世界に入り、ひとしきり楽しむと、また当たり前
の世界に戻る、空想物語の名作。
詩人・岸田衿子による軽やかな日本語訳と純粋な語感は、時を経ても色褪せず、安野光雅
のあたたかく、ユーモアに彩られる空想あふれる絵は、心躍る世界を、そっと閉じ込めて
思い出させてくれます。
著者について
作:トラバース(P.L. Travers)
イギリスの児童文学作家。本名はヘレン・リンドン・ゴフ (Helen Lyndon Goff)。1899年、オーストラリ
アに生まれる。1924年、25歳の時にイギリスへ移住し詩人としてデビュー。その後、児童向けの小説や詩
を多数発表。1977年、大英帝国勲章受勲。
訳:岸田衿子(きしだ えりこ)
1929年、東京に生まれる。詩人・童話作家。岸田國士を父に持ち、妹は女優の岸田今日子。東京芸術大学
油絵科を卒業。詩集に『忘れた秋』『あかるい日の歌』『いそがなくてもいいんだよ』。絵本、童話に『かば
くん』『帰ってきたきつね』『プッポコとペッポコ』シリーズ。童詩集に『木いちごつみ』『かぞえうたの本』
『へんなかくれんぼ』『森のはるなつあきふゆ』。エッセイ集に『風にいろつけたひとだれ』『草色の切符を
買って』。翻訳にアーノルド・ローベル『どろんここぶた』などがある。
絵:安野光雅 (あんの みつまさ)
1926年、島根県津和野町に生まれる。BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞などを
受賞。1988年紫綬褒章、2008年菊池寛賞、他を受賞。2012年、文化功労者に選ばれる。主な著作に『ふ
しぎなえ』「『旅の絵本』シリーズ(全9巻)」(福音館書店)、『本を読む』(山川出版社)、『小さな家のロー
ラ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』(小社刊)などがある。2001年、津和野町に「安野光雅美術館」、
2017年、京丹後市の和久傳の森に「森の中の家 安野光雅館」が開館。