ミルキーピア物語(9) 京美・誕生 小さなイヤリング

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あらすじ

ミルキーピアが誇るナンバー1アイドルソフト『京美』の誕生にまつわる外伝ストーリー

 片山秀人は頭を抱えていた。ネットワーク上で稼働するパーソナルアイドル『京美』の開発が、土壇場でトラブルに見舞われていたのだ。いちばんの問題はトラブルの原因が皆目わからないこと。直前になって、デビューしたくない、と京美自身が言いはじめたのだ。秀人は脳波電流イメージ検出キャップをかぶって、ダイレクトに意識をネットワーク内に送りこむという不思議な能力を持っていた。しかしこれは何年も使ったことがなく、社内でも秘密にしていたのだが、決意した秀人はその能力を使うことにした。
 ドタバタ電脳SF小説「ミルキーピア物語」シリーズ第1弾である『京美ちゃんの家出』では、すでに京美ちゃんはネットの人気者となっていた。本書はその第9弾であり、京美ちゃんのデビュー秘話ともいえる短篇作品。SFマガジン1991年8月号に掲載されたまま単行本未収録だった幻の作品が、電子オリジナルとして登場! また、特別付録として、新たに執筆された「ミルキーピア物語顛末記――電子書籍版によせて」を収録。ミルキーピア物語がシリーズ化するまで、キャラクター誕生秘話、さらには変則的な出版形態について等々、顛末記を著者が語る。

第0話 京美・誕生 小さなイヤリング
ミルキーピア物語顛末記――電子書籍版によせて

●東野 司(とうの・つかさ)
1957年、愛媛県生まれ。横浜国立大学大学院中退。テクニカルライターを経て、1986年『赤い涙』(「SFマガジン」早川書房)でデビュー。主な著書に『ミルキーピア物語』シリーズ、『地球SOS』(早川書房)、『よろず電脳調査局ページ11』(徳間書店)、『電脳祈祷師』(学習研究社)、『展翅蝶』(エニックス)など。また、2013年子ども向け書き下ろしSFシリーズ「21世紀空想科学小説」企画立案。同シリーズ『何かが来た』(岩崎書店)。日本SF作家クラブ会員、日本児童文学者協会会員、日本文藝家協会会員。日本SF作家クラブ第17代会長。