中上健次 電子全集19『全対話集 I』
購入した作品の読み方あらすじ
梅原猛、角川春樹、吉本隆明、石川好…文学、歴史、思想等について中上健次が熱く語る対談集を完全収録。
『君は縄文人か弥生人か』の対談相手・梅原猛とは、晩年近くに交友があった。死の半年前の1992年5月、故郷・和歌山県新宮市で、中上は梅原、原田芳雄(俳優)らを招いて、御燈祭りセミナーを企画したが、腎臓癌治療のため慶応病院に緊急入院、やむなく参加を見合わせることになった。
『俳句の時代』は、角川春樹との3回の対談。サブタイトル「遠野・熊野・吉野 聖地巡礼」の通り、場所を移して行われた。中上健次の紀州熊野サーガ(物語群)の符牒「(夏)芙蓉」をめぐって角川は、自らの「言語感覚」との共通点を、「キーワードは〈芙蓉〉なんだよ」の一言に集約させている。中上健次は、熊野大学定例の俳句吟行では、専ら講評に徹したが、現代作家には珍しい本格的な俳句鑑賞者だった。
『解体される場所』は吉本隆明、三上治との鼎談で、昭和の終焉後に行われた。ここでの解体される場所とは、旧左翼的な尻尾を引きずった戦後思想、文学の理念のことであり、またサブカルチャー的なものに浸透された文化の総体も指していた。
その他、ノンフィクション作家・石川好との対談『アメリカと合衆国の間』、各種インタビューも収録。
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