六月の薄化粧
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あらすじ
あれこれ、流れ落ちていく だから、薄化粧
一緒に暮らしている男女がいる。
女性はケーキ教室のアシスタントを務め、
男性は予備校および学習塾の講師であり、
同時に田舎にも家を借り、彫金を試みようとしたりしている。
一緒にいても屈託や軋轢の見られない2人だが、
それはいつもこの2人がビールを飲んでいるからではないか? と思えてくる。
それほどこの短篇小説は全編、ビールのことが描かれている。
雨や海岸で濡れることなど、水にまつわるシーンも多いが
その傍らをいつもビールが流れていく。
これは、「水に流す」ではなく、ビールに流す小説だ。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/