還暦からの電脳事始
高橋 源一郎 1,430円
あらすじ
ぼくがiPadを買ったわけ
ガラ携で充分だったはずなのに……遂にiPadの扉を開いてしまった!
「アラ還」からはじまる、驚きと発見に充ちたデジタルとの日々。
文壇のワープロ王子だったはずが……
字が汚くて、書くのが遅く、
ワープロがなかったら小説家にはなっていなかった、という著者。
「ワープロで小説を書くなんて」
――当時の文壇は電脳に否定的かつ閉鎖的だったけれど、
そんな空気をものともせず、これ幸いとワープロを導入したタカハシさん。
瞬く間に親指シフトを習得。
締め切りの追われ、書き上げた原稿が消失しても、
めげることなく、日々、作品を書き続けてきました。
あのとき、時代の先端を行く「文学界のワープロ王子」こと
タカハシさんも、気づけば還暦。
スマフォやタブレット端末が台頭しても、二つ折り携帯で用は足りる、
ツイッターも出来るし『電脳社会のガラパゴス島』にいても何不自由なく暮らしている。
それでいい、と思っていたのだが……。
ほんとうは羨ましかったんです
そんなタカハシさんを変えたのは、小学生の息子たちの存在。
説明書なしで、しかも、一夜にしてiPadを使いこなしてしまった!
その場面に遭遇したとき……本当は気になって、知りたくて、羨ましかった、
パンドラの箱だった「電脳の世界」の扉が開いてしまったのです。
アイ、アイパッド……ください!
ぼくは、いちばん親切そうで、優しそうな、
女性スタッフを見つけ、走った。
そして、彼女に向かって叫んだ。
「アイ……アイパッド、ください!」
なんか、ちょっと、愛の告白みたいだった。
(本文より)
「デジタルなんて」と敬遠しがちな人も、
「今からでも大丈夫」と勇気づけられること、間違いなし!