作家たちの戦争―昭和史の大河を往く〈第11集〉
保阪 正康 880円
あらすじ
荷風、大岡昇平、山田風太郎、大佛次郎・・・・、あの戦争が彼らを作家たらしめた。
昭和史の視点から作家の日記と作品を読み解く画期的な文学論。
<目次>
山田風太郎の『戦中派不戦日記』を読む
「戦争に負けると、ああなる」──山田風太郎と中国兵捕虜
八月十日の終戦──山田風太郎の心のなかの戦い
「十五日(水) 炎天 ○帝国ツイニ敵ニ屈ス。」
山田風太郎が終生感じた日本人へのもどかしさ
永井荷風の『断腸亭日乗』を読む
荷風が覚悟を決めた昭和十六年六月十五日
「アメリカと戦争するなんて莫迦ばかですよ」
戦時下、荷風が上野駅地下で見かけた男女
八月十五日、疎開先で知る「日米戦争突然停止」
大佛次郎が終戦直後に書いた「英霊に詫びる」
大佛の特攻への共感と荷風、志賀直哉への嫌悪感
「正直に生きていることに悔はない」
東久邇内閣の「内閣参与」として
大岡昇平のフィリピンでの戦場経験
大岡昇平が『俘虜記』で伝えたかったこと
『野火』から伝わる昭和陸軍の狂気
『レイテ戦記』執筆に至る公刊戦史の嘘への怒り
書いたのではなく、亡き戦友たちに書かされた大岡昇平
丹羽文雄が目撃した『海戦』の生と死
高見順が向きあった昭和二十年八月十七日の島木健作の死
清沢洌の怒り──「こんな戦争をやるのは誰だ」
徳富蘇峰が「自ら吾が愚に驚」いた八月十五日
伊藤整が感じた十二月八日の奇妙な静けさ
『戦艦大和の最期』──著者・吉田満の戦後
あとがきに代えて──残酷な踏み絵を作家に迫った時代