パッシング・スルー
片岡義男 275円
あらすじ
端的なタイトルがこの短編のすべてを表している。
通り過ぎること、それがすべて。
町を通り過ぎながら、見る。
徒歩や自転車やオートバイのように体を外気にさらさない
四角い個室のまま自動車で移動することで
見ることは純化される。
通り過ぎることでカメラ・アイになる。
そこに対向車が、ガス・ステーションが、林が、湖が、
広告の看板が、遊園地が、ビーチパラソルが、教会が映る。
主人公は、カメラではなく、人間であることを忘れないように(?)
時折、リンゴをかじる。