麦畑に放りだされて
片岡義男 275円
あらすじ
はるかカナダにまで続く、気の遠くなるような面積の麦畑。
熟練の腕を持つ指揮官の下、麦刈り隊に加わった青年は
恐怖すら感じさせる、そして官能のゆらめきをたたえた
麦畑の法外な物量の中で、かつてない身体の開放と
地球と自分の体が一つになった感覚を獲得する。
麦畑と一緒に在ると、風はひときわよく目で観察することができ、
火はあまりに獰猛で俊敏に動く。
そこにむきだしの、プリミティヴな人間の動きが接する。
この純度の高さこそが、労働というものだ。