もうひとつラヴ・ソング
片岡義男 275円
あらすじ
この短篇のすばらしさは、タイトルに集約されている。
「もう一つのラヴ・ソング」ではなく「もうひとつラヴ・ソング」。
「の」を抜くことによって、一つのラヴ・ソングのことだけでなく、
人が生きているこの世界すべてが小説の対象になった。
思いがけない形で遺されたラヴ・ソングを思いがけない人物が歌うことになり、
それを家族が聴いている。読者が聴いている。
この世界が聴いている。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。