絶対女王にゃー様3
あらすじ
にゃー様、僕に会ってみたいと思いますか?
「ぴんぽーん!」
チャイムの代わりに甲高い声が響き輪久はベッドから跳ね起きる。聞き覚えのある声。玄関の鍵をがちゃがちゃと開く音。
「あ、兄様」
別居しているはずの妹の顔。輪玖は慌ててノートパソコンを胸に抱きかかえる。
「お前は何がしたいの?」
「兄様のお部屋チェックですが」
「だからなんのために」
「知っておきたいじゃないですか、だって兄様とは今日から一緒に暮らすのですから」
片親である父・樽人氏の居ぬ間の、突然の妹の来訪。にゃー様との関係を秘密にするため、輪久はパソコンを死守し続ける。そして、妹の目を盗んで、今夜も絶対女王にチャット・イン!
「おはようございます☆」
──デートの待ち合わせみたいですね。
「ふふふ、じゃあらぶらぶデートしちゃいましょう」
奴隷の輪玖はにゃー様に囁きかける。
僕にはにゃー様がいればいいんです。三次元はみんな嫌いです。イミテーションの結華。イミテーションの妹。イミテートすらできない香苗。みんなくすんだ肌色をしています。ただにゃー様の声だけがきらきらと光っています……
絶対女王の宮殿に迷いこんだ少年の顛末やいかに?
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。