井上 靖 24件 人気順 新着順 私の西域紀行(上) 井上 靖 西域は、著者の憧れの地であった。かつては東西交通の要衝として栄え、数々のロマンを生んだこの地域は、同時に、広がる荒蕪地と沙漠が人間の進入を拒む死の土地である。「敦煌」「楼蘭」「昆崙の玉」など、西域を舞台に幾多の小説を書いている著者の四十年来の夢、それは自らの足で彼の地に立つことであった。夢は果たされ、踏査行は四度にわたった。白雪を頂く峻険の天山山脈が、タリム盆地が、火焔山が、巨匠の筆に、あざやかに甦った! 畢生の紀行文学。 550円 私の西域紀行(下) 井上 靖 「私の生涯の一書はこれだ」と著者はいう。荒涼たる土の海、天へ舞い上がる沙の渦をおかして探査の旅は続けられ、その困難のさ中に先人スタインの記録の空白が、ここにはじめて埋められる。二度目の敦煌、タクラマカン砂漠の大ドライブ、四日がかりの汽車の旅。間断なく揺れる車の助手席で、あるいはたどり着いた宿舎で、根気よくとりつづけられたメモと、作家の洞察力が、秘境のかくされた顔を正確無比の筆で描き出した。シルクロードは、読者の眼前にある。 550円 崖(上) 井上 靖 男は自分の体がゆるやかに、しかし、全く無抵抗な感じで、傾斜面をすべり出したのを知った。が、そうした感じは極く一瞬のことで、あとは落下という言葉がふさわしいすべり落ち方であった。街の灯が光の帯でも流れるように、いっせいに彼をめがけて突進して来た。何ものかが、それも彼にとって極めて大切なことが、幾つも幾つも、同時に男の脳裡をつんざき横切った。……元新聞記者の山代大五がこの事故で失った三年間の記憶。その空白の部分に浮彫りされる人生とは? 880円 崖(下) 井上 靖 山代は、現在そうした曾ての彼女への思慕が、完全に自分の心の中で死滅してしまっているのを感じた。あのように決して消えることのないものとして自分の心の中に大きい爪跡を残していたものが、どうして失くなってしまったのであろうか。三年間の過去と一緒に、彼女への烈しい思慕の気持もすっぽりと形を消してしまっていた。……人間にとって、過去とは何か。生きるという現実のなかにある過去の重みを、元新聞記者の、事故によって失われた時間の謎を追求しながら確かめた問題長篇。 880円 12 TOP 電子書籍(本・小説) 井上 靖 2ページ目