江戸川乱歩 171件 人気順 新着順 江戸川乱歩 電子全集3 明智小五郎 結婚編 江戸川乱歩 明智をぶった切る前代未聞の爆笑解説と、あの名文を書いたあの先生の、笑えて学べるインタビュー。電子でしか読めない特典満載。 三島由紀夫の戯曲でもお馴染みの「黒蜥蜴」。ミステリーなのかSFなのか、一種独特の味わいを持つ「人間豹」。「大暗室」では、明智不在の東京が未曾有の危機に陥り、「悪魔の紋章」では、謎の3つの渦巻きが人々を恐怖のどん底に引きずり込む。シリーズもいよいよ佳境に入り、明智小五郎もますますその人としての陰影を濃くしていく。 今回、小松史生子・金城大学教授の解説は、明智のみならず彼を取り巻く妖しい女性たちにも切り込んでいる。これに爆笑するか、あるいは、ドキッとさせられるか。読者の恋愛観が試されるかも知れない。 インタビューは、乱歩作品を落語にした創作落語シリーズの仕掛け人であり、乱歩の蔵書のうちの古典籍(江戸時代の和本)の評価・整理にあたった渡辺憲司・自由学園最高学部長(立教大学・名誉教授)。元・立教新座高校の校長であり、東日本大震災直後にSNSで話題となった「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。」の作者でもある。大の落語ファンだけに、その語りは軽妙で小気味良く、まるで一席の落語のようである。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 【ご注意】※この作品は一部カラー写真が含まれます。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集4 明智小五郎 英雄編 江戸川乱歩 発端を乱歩が、解決編を山田風太郎が書いた連作小説を一挙掲載。ミステリーの面白さ満載の電子オリジナル編集。 明智小五郎シリーズ最終回は、乱歩が愛したミステリーの醍醐味をたっぷり味わえる充実のラインナップでお送りする。意外な犯人、動機の不在、アリバイ崩しと精緻な推理。そしてもちろん、乱歩ならではの娯楽性とストーリーテリングの妙。推理小説の面白さを存分に味わえる6編に加えて、乱歩、角田喜久雄、山田風太郎の3人がリレー形式で書いた連作推理小説「悪霊物語」を全編収録。乱歩によるミステリアスでエロティックな「発端編」を、角田喜久雄がどう広げ、山田風太郎がいかに落とし込んだか。 そして、ミステリーとあらば、解説は新保博久氏をおいてほかにない。今ではあまり馴染みのない連作小説だが、人気作家の作品を少しずつ楽しめる楽しさもあって、乱歩の周辺では一時期ちょっとしたブームになったという。しかし、デキは玉石混淆。そんな話題作、問題作の楽しみ方を、軽妙な言い回しでご紹介いただく。 さらに、小松史生子教授の明智論もついに完結。これまで4回のシリーズであぶり出された明智の別の顔、真の姿やいかに! 付録:インタビュー、コラム&フォト他 【ご注意】※この作品は一部カラー写真が含まれます。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集5 傑作推理小説集 第1集 江戸川乱歩 初期の本格短篇と戦慄のホラー、レンズ好きの乱歩ならではミステリー。これぞ乱歩!の傑作集・第一弾。「五階の窓」も全篇収録! 乱歩が第一回を執筆した「五階の窓」は、雑誌『新青年』誌上で6人の作家によって書き継がれた連作探偵小説である。連載当時、犯人捜しの懸賞とともに解決篇にあたる小説を広く募り、1等には50円の賞金が贈られるという当時としてはなかなか豪勢な企画が展開されていた。今回、乱歩による導入部のみならず、他の5人の作家が執筆した部分も含めて全篇を一挙に収録するとともに、当時の懸賞告知や一等に選ばれた小説、執筆者の所感や総評も含めて再録。作品そのものの面白さとともに、当時の探偵雑誌の雰囲気を丸ごと楽しんでいただきたい。また、乱歩のデビュー作にして代表作のひとつとも言える「二銭銅貨」や、発想の奇抜さと巧みな語りで、これもまた代表作としてあげられることの多い「人間椅子」、未完のまま一旦連載を終了したものの後に加筆して完成させた異色のホラー「闇に蠢く」など、乱歩入門編とも言えるほどバラエティに富んだ29作品をまとめてお届けする。小松教授の解説は、「恐ろしき哉、春」と題して探偵小説の「季語」について。乱歩と同時代を生きた詩人・萩原朔太郎と重ねて語られる「春」の真の姿は、ゾクッとするほど刺激的である。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 【ご注意】※この作品は一部カラー写真が含まれます。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集6 傑作推理小説集 第2集 江戸川乱歩 夢の儚さも、人の心の邪悪な影も、欲望の罪深い悦びも、知ってしまった今こそ読み返したい。大人のための、とっておきの乱歩。 圧倒的な筆力で描き出された総天然色の一大スペクタクル・ロマン「パノラマ島奇談」、乱歩作品のイメージを決定付けた「孤島の鬼」、禁断のエロスと巧みな仕掛けで傑作の誉れ高い「陰獣」など、昭和の初めに書かれた読み応え十分な長篇を軸にお届けする。発表時から既に伏せ字だらけであったという、あの永遠の問題作「芋虫」をはじめ、珠玉の短篇も加えた充実のラインナップで大人のための乱歩ワールドをお楽しみいただきたい。 同時に、耽綺社名義で発表された「飛機睥睨(空中紳士)」や、乱歩の才能をいち早く見出した小酒井不木と共に練り上げた「屍を」といった、この時期に描かれた合作も収録。また、小品ながらファンの多い「押絵と旅する男」については、本作を愛してやまない立教大学大衆文化研究センター学術調査員・落合教幸氏がその魅力と奥深さをレクチャーする。さらに、乱歩作品を創作落語にした柳家喬太郎と三遊亭白鳥のスペシャル対談も収録。古典・創作、自由自在の人気落語家二人が語る、乱歩作品と創作落語の秘密は、濃く深く、まさに大人が唸る芸談となっている。 第6巻は、己の欲望と業に対峙し、それを楽しむ大人のための一冊である。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 ※この作品は一部カラー写真が含まれます。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集7 傑作推理小説集 第3集 江戸川乱歩 麗しき華は、血の匂い。エロスとタナトスの間(あはひ)に咲く背徳の美学。ようこそ、Sin(道徳上の罪)とcrime(法律上の罪)の花園へ。 人間の五感(「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」)のうち、あなたが最も欲望をかき立てられるのは何であろうか。『盲獣』は、触れることのエロスとそれに溺れた人間の狂気を描いた作品である。また、大江蘭堂なる探偵作家が美貌の未亡人に翻弄される『恐怖王』も、背徳の香りと血の匂いに彩られた一作だ。さらに、乱歩が敬愛する作家・黒岩涙香の翻案小説をベースに、墓場から蘇って執念の鬼となった男の復讐劇を描いた『白髪鬼』。『パノラマ島奇談』(第6回配信)でお馴染みの、一人の男によって建設された妄想テーマパークを舞台に、絢爛豪華な殺人カーニバルが繰り広げられる『地獄風景』。美女の体を切り刻み、死体をマネキンにしてショーウインドウに飾る猟奇殺人鬼を描いた『妖虫』など、エロティックな場面、グロテスクな描写が満載なのに美しく、理知的な雰囲気が漂う中・長篇を軸にお届けする。そして今回特別に、乱歩とその同時代の作家たち(横溝正史、夢野久作など)による連作小説『江川蘭子』と『殺人迷路』、耽綺社同人による幻の合作脚本『ジャズ結婚曲』も、可能な限り初出に忠実な形で全篇掲載。当時の作品を丸ごと楽しんでいただきたい。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 1,540円 江戸川乱歩 電子全集8 傑作推理小説集 第4集 江戸川乱歩 悪いヤツほど美しい。「登場人物イケメン・ランキング」をはじめ、涙香版「幽霊塔」(一部)他、電子でしか読めない特典満載! 少年の頃、乱歩は、「幽霊塔」という小説に夢中になる。それは、イギリスの女性作家の作品を黒岩涙香が翻案したものであった。それから30年の時を経て、乱歩自らこの作品を翻案したものが、ここに収録する「幽霊塔」である。今回、特典として、涙香による「幽霊塔」の冒頭部分と、原作(アリス・M・ウィリアムスン)の最初の1シーンを翻訳して掲載した。乱歩の作品との違いを楽しんでもらいたい。また、東京大空襲の3ヶ月前に完結した「偉大なる夢」では、アメリカ大統領・ルーズベルトが醜悪で卑劣な男として登場。秀逸なトリックはもちろん、あの時代の空気も感じられる作品である。そして今回、スペシャルとしてお届けするのは、「乱歩作品登場人物イケメン・ランキング」。当全集の、笑いと毒を織り交ぜた鋭い解説でお馴染み、小松史生子・金城学院大学教授が、ヒーローもヒールもバッサ、バッサと切りまくる。他に、乱歩が発端篇を書いた連作探偵小説「黒い虹」を全文掲載。当時の人気作家が書き継いだ物語を、最後の甲賀三郎が解決に落とし込むのだが、相当苦労したようで、本文に入る前に、言い訳のような解説を延々と書いている。これがまた愉快で一読の価値あり。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 1,540円 江戸川乱歩 電子全集9 傑作推理小説集 第5集 江戸川乱歩 ミステリーからスリラー、時代小説まで、乱歩の「発端篇」をもとに、総勢12名の作家が書き継いだ連作小説5編を一挙収録。 昭和25年から35年。日本が敗戦の混乱から抜け出し、復興の波に乗って新たな時代に漕ぎ出そうとしていた頃、乱歩もまた、作家として新たな模索を始めていた。この頃の作品は、デビュー当時の本格推理ものや「エログロ」と言われた一連の作品とは一線を画し、どこか洒脱でモダンな雰囲気がある。犯罪ギリギリのジョークで人を煙に巻く夫婦を、彼等に振り回される男の視点で軽快に描く「ペテン師と空気男」。断崖の上で交わされる男女の会話が意外なオチにたどり着く「断崖」。渡辺剣次のストーリーをもとに執筆した、ある意味“乱歩らしくない”傑作「十字路」など、この時期に書かれた大人向け作品を8編収録。乱歩のアナザーサイドを楽しんでいただきたい。また、今回は、この時期に乱歩が関わった連作小説を一気に5作収録。乱歩が書いた発端篇をもとに複数の作家が書き継いで行くもので、ミステリーや時代小説などジャンルは多岐に渡る。名作はもちろん迷作、問題作もあって玉石混淆であるが、それもまた楽しんでいただければ幸いである。インタビューは、アンソロジストの東雅夫氏。幻想文学としての乱歩を知ることで、これまた乱歩の別の側面が見えてくるはずである。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 1,540円 江戸川乱歩 電子全集10 ジュヴナイル第1集 江戸川乱歩 大人はみんな少年だった! 漢字で読めるジュブナイル第1弾は、「少年探偵団」シリーズ。戦前の4作を連載時のスタイルで。 乱歩と言えば、エログロと本格推理。そして、昭和の子どもたちを魅了した「少年探偵団」であろう。今回からいよいよ、その少年探偵団をはじめとするジュブナイル(少年少女向けの小説)を執筆年代順にお届けする。第1回は、昭和11(1936)年から昭和15(1940)年にかけて、『少年倶楽部』に連載された少年探偵団シリーズ最初の4作である。通常ジュブナイルは、対象年齢に応じて漢字の使用が制限される。少年探偵団シリーズも、これまで出版された本では平仮名が多用されており、大人が読むには少々難があった。が、なんと初出時の誌面では、概ね当時の大人の雑誌と同じ水準で漢字が使われていたのである。ただし、当時は大人の雑誌もそうであったが、漢字すべてにルビがふられていた(総ルビ)。そこで今回、大人にとっては少々うるさいルビを最小限にした上で、全文を初出のまま収録することとした。毎号末尾に添えられた惹句(あおり文句)も旧仮名遣いで掲載し、連載時の雰囲気を電子書籍で可能な限り再現している。さらに、小学館の学習雑誌に掲載されたダイジェスト版を復刻。ミステリーと冒険に彩られた輝かしい少年の日々に立ち返って楽しんでいただきたい。 付録:インタビュー、コラム&フォト他 1,540円 江戸川乱歩 電子全集11 ジュヴナイル第2集 江戸川乱歩 戦中の異色作2本と海野十三、森下雨村の幻の作品(未刊行)を含む周辺作家のジュヴナイルを収録。ここでしか読めない特典満載! 全20巻の折り返しにあたる第11巻は、本編より特典の方が多いイレギュラーな構成でお届けする。今回の軸は、戦中に書かれた異色の2作品である。「新宝島」は、昭和15年から翌年にかけて『少年倶楽部』に連載された冒険小説だ。もう1作は、旧作がすべて絶版となり本名での執筆が難しくなった乱歩が、昭和17年から「小松龍之介」名義で連載した「智恵の一太郎」シリーズ。こちらは時局に配慮して、不穏な事件の起きない科学謎解き小説となっている。ともに戦中という時代背景もあって、他の作品とは少し趣を異にするのでここに集約した。そして今回の特典は、乱歩と親交のあった同時代の探偵作家が小学館の学習雑誌に残した作品。このうち森下雨村の「水上透少年シリーズ」(昭和9年)と海野十三による短篇小説(昭和15年)は、これまで一度も刊行されたことがない幻の作品である。また、甲賀三郎の名作「真紅の鱗形」(昭和5年)では、後の単行本で「江口」とされているある主要登場人物の名前が、実は初出時には、途中で「江連(えつれ)」に変わっていることが明らかになった。「江連」とは、何者か。甲賀が仕掛けた謎に、ミステリ評論界の名探偵が80年の時を超えて挑む。 <特典>小酒井不木の少年科学探偵シリーズ3作(覆刻/初出は、大正末期)や、大下宇陀児「魔法少年」(昭和11年)も収録。新たな視点で“いけすかない少年探偵たち”を斬る小松教授の解説をはじめ、論考も充実。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集12 ジュヴナイル第3集 江戸川乱歩 少年の日のドキドキとワクワクをもう一度。 惹句(じゃっく)入りで連載時のまま読む少年探偵団。懐かしのポプラ社版も漢字化して併収。 戦後初の本格的な創作である「青銅の魔人」をはじめ、昭和24年から29年までに少年誌に連載されたジュブヴナイル6作品を当時のままお届けする。各回冒頭の前号までのあらすじや末尾の惹句はもちろん、単行本や文庫本では削除・変更された部分も読めるファン待望の構成だ。加えて、昭和の学校図書館には必ずあった懐かしのポプラ社版も、漢字表記に直し特典として収録。さらに、電子書籍の特性を生かして、変更されている部分をそれぞれリンクで結び、比較できるようにした。几帳面な乱歩は、単行本にする際に自身で手を入れ、また、版を重ねる度に時代に合うよう微調整を繰り返したという。ちょっとした言い回しや言葉の選び方1つにも、そんな乱歩の作家としてのセンスとこだわりが現れている。どこがどう変わっているのか、乱歩の気分で探ってみてはいかがだろうか。 また、今回の作品には、連載当時の社会や世相が色濃く反映されたものも少なくない。例えば「青銅の魔人」では、戦災孤児を集めたチンピラ別働隊が結成され、「宇宙怪人」では、その頃から目撃談が増え始めた空飛ぶ円盤が登場。少年たちの、そして日本人の昭和史として読むのも、大人ならではの楽しみである。 小松史生子・金城学院大学教授の解説は、チンピラ別働隊に注目。少年探偵団の下部組織としての彼等のあり方から、児童文学の空白領域に切り込む。他に、小学館の学習雑誌に掲載された乱歩作品のダイジェスト版も当時のまま再録した。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集13 ジュヴナイル第4集 江戸川乱歩 惹句入りで連載時のまま読むか、漢字でスラスラ読むか。 1つの作品を2つのヴァージョンで。読んで比べる少年探偵団。 「つぎつぎとおこる奇怪な事件! 黄金豹とは、そもそもなにもの?」(「黄金豹」)、「真夜中にろうかを歩く美しい人形――。またまたおこる怪事件!」(「魔法人形」)。あおり文句もそのままに、連載時のかたちを再現してお届けする少年探偵団シリーズ。昭和の図書館には必ずあったポプラ社のあの本をあえて漢字化し、大人が違和感なく読めるようにしたヴァージョンも併録。戦後の少年誌の雰囲気を味わいたい人にも、奇想天外な読みものとして楽しみたい人にもおすすめの、大人のためのジュヴナイルである。 よく知られているように、乱歩は単行本にする際、自身で作品に手を入れ、時代に合うよう修正していた。今回収録した作品でも、連載時とポプラ社版では異なる部分がかなりあり、細かいものも合わせると、変更は優に100を超える。そのうち特に重要なところや興味深い部分には、註釈を加えたり、対応する箇所をリンクで結んで確認できるようにしている。乱歩のあとを辿り、資料的な探求を試みるのもまた、大人ならではの楽しみ方であろう。 収録作品は、「海底の魔術師」「探偵少年」など全7作。 大人になってはじめてわかる「子どもの知らない子どもの世界」が、きっとある。 他に付録として、『小学六年生』(小学館)に掲載された乱歩「天空の魔人」の翻案(「天空魔人」)を誌面まるごと再録。小松史生子・金城学院大学教授による、乱歩ジュヴナイルの根底にある根源的な恐怖とその対象についての考察も、ぜひ。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集14 ジュブナイル第5集 江戸川乱歩 『小学四年生』昭和33年4月号~『小学五年生』昭和35年3月号まで、2年間にわたる「鉄人Q」連載誌面すべてを丸ごと覆刻! 今回お届けする9作は、昭和32年から34年にかけて執筆された作品である。二十面相の本名と素性が明らかになる「サーカスの怪人」、秘密基地のような二十面相のアジトを軸に展開する「奇面城の秘密」など、乱歩お得意の路線を踏襲する作品に加え、同時期に書かれた低学年向けの物語も収録した。 この頃乱歩は、複数の雑誌で連載をかけもちするほどの売れっ子で、大人から子どもまで誰もが知る人気作家であった。その一方で、低迷する探偵小説界を牽引すべく、経営不振に陥っていた探偵雑誌『宝石』の立て直しに尽力したり、探偵小説界の広告塔を自ら引き受けてメディアに登場するなど、文化人としても多忙を極めていた。結果さすがにアイディアに窮したのか、定番の要素、お馴染みのシーンも登場する。しかし、それでも作品としてのおもしろさは色あせず、むしろ、ある種の様式美とも言える仕上がりになっている。どの作品のどの場面に類似しているか、それを乱歩がどうアレンジしているか、探ってみるのも楽しい。 そして、今回の小松教授による解説のテーマは、「少女小説としての乱歩作品」。女性の視点で作品を読み解くと、物語の背後に隠されたエロスが芳醇な香りとともに立ち上がる。 さらに、乱歩作品のリライトを数多く手がけた氷川瓏の作品の一部も覆刻。木々高太郎に師事し、乱歩にも認められた作家の幻のジュブナイル。そのクライマックス(5回分)を、古賀亜十夫の挿絵とともに収録した。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集15 ジュヴナイル第6集 江戸川乱歩 乱歩最後の作品を含むジュヴナイル・シリーズ完結編。学習雑誌付録とインタビューで蘇る懐かしの昭和、遠い日の思い出。 ジュヴナイル最終回は、昭和34年~37年までの4年間に執筆された作品をお届けする。乱歩は昭和40年に亡くなったが、38年以降、小説は執筆していない。従って、乱歩の作家としての最後の作品は、今回お届けする「超人ニコラ」(昭和37年)である。これまでの作品でお馴染みのシチュエーションや要素を巧みに取り入れ、子ども向きにアレンジした奇想天外な物語だ。また、タコ型宇宙人、カニ型宇宙人が登場する「電人M」「妖星人R」も収録。これらは、人工衛星の打ち上げやガガーリンによる人類初の宇宙飛行といった出来事を背景に、宇宙への関心が一気に高まった時代ならではの作品である。さらに、昭和35年4月から1年間にわたって『小学六年生』(小学館)に連載され、謎解きの楽しさで子どもたちを湧かせた「おれは二十面相だ!!」は、連載時のまま覆刻。ミステリー中級・上級者なら、トリックのネタ元を探してみるのも一興だ。今回、特典として、この作品で臨場感溢れるイラストを描いた中村英夫氏と、当時から現在までイラストレーター(特に、メカ・イラスト)として活躍する高荷義之氏のインタビューも収録。当時の制作現場裏話もお楽しみに。 ジュヴナイル・シリーズの完結を記念して、昭和の学習雑誌の付録の中から、おすすめのものを選んでご紹介する。敗戦から東京オリンピックへと向かう復興の歩みと人々の暮らしの変化を、ノスタルジーとともにかみしめていただきたい。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集16 随筆・評論第1集 江戸川乱歩 昭和5年までの随筆・評論を初出のまま、発表順に収録。「休載お詫び」や「附記」が断然面白い! いよいよ最終シリーズ、随筆・評論編のスタートである。初回は、デビュー前から昭和5年までに様々なメディアに掲載された作品を発表順に並べてお届けする。 乱歩の随筆は、昭和四年の『悪人志願』以来何度も単行本化され刊行されている。また、「暗号記法の分類」や探偵作家論など今読んでも楽しめるものも多いので、ファンなら一度は目にしたことがあるであろう。それらお馴染みの作品に加えて、今回は「附記」や「お詫び」として掲載された短文も可能な限り収録した。 実は、これまで単行本にも収録されず、まとめられることのなかったこの部分が、とてもおもしろい。創作の最後に添えられた「こんな作品でスミマセン」、あるいは「こんなつもりじゃなかった」。休載してしまったときの「書けなくてゴメンナサイ」。こういった一文には、ある種のユーモアがあり、同時に乱歩の律儀で謙虚な人柄がよく現れている。また、同時期、主に探偵雑誌に掲載された座談会4本も収録。小酒井不木、甲賀三郎、横溝正史らお馴染みのメンバーとの話はもちろん、乱歩が身を乗り出して“探偵小説的殺人の方法”を専門家に尋ねる「犯罪研究座談会」など、ひと味違ったテーマのものも楽しい。 シリーズ・スタート記念の特典として、ブログ「名張人外境」で今日も乱歩目録を更新し続ける、乱歩研究家にして編集者・中相作氏のクスッと笑えてピリッと辛いインタビューも収録。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集17 随筆・評論第2集 江戸川乱歩 随筆・評論第2弾。昭和6年から終戦までの乱歩の軌跡を発表順に。海野十三、小栗虫太郎らとの奇談会や講演録も。 昭和8年「独逸ナチスの焚書をどう見る?」とのテーマのもとに書かれた一文は、現在の歴史認識から言っても極めて妥当な意見であり、また同時掲載された他の文学者のコメントと比べてもかなりデモクラティックな認識に立った見解である。それから10年後、町内会副会長、隣組の組長として、あるいは特派記者として執筆された随筆やルポには、その面影はいっさい見当たらない。あの時代のごくごく一般的な壮年男子の物の見方、見識である。はてさて、それは乱歩の真意であったのか、それとも処世術であったのか。また、この時期乱歩は、探偵小説とは何かを真摯に追求し思考する一方、同性愛に関する記述も多く書き残している。ここで語られるのは、ギリシア的恋愛、武士道的友愛といった、謂わばプラトニックな同性愛であるが、それらは乱歩の作品世界を構成する重要な要素であるとともに、人間・乱歩の厚味を支えるものでもある。このあたりは、「J.A.シモンヅのひそかなる情熱」を軸に乱歩作品のダーク・ヒーローとその魅力について解き明かす小松史生子・金城学院大学教授の鮮やかな解説をご一読いただきたい。 「大乱歩」になる前の、思考し、探求する乱歩の姿がここにある。 特典として、大下宇陀児、木々高太郎、海野十三、小栗虫太郎ら総勢8名の作家がとっておきの話を持ち寄って語り競う「持ち寄り奇談会」(昭和10年/『新青年』)を丸ごと収録。虚実ない交ぜの洒落た短篇集といった趣きである。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集18 随筆・評論第3集 江戸川乱歩 木々高太郎との論争と探偵小説評・作家論を初出のまま収録。「探偵小説とは何か」を追い求め、読み、思考した5年間の軌跡。 戦後、海外ミステリーが自由に読めるようになると、乱歩はそれらを片っ端から手に取って読み耽り、続々と評論を発表する。マニアの本領を発揮して丹念に調査した欧米の最新情報を折り込み、論理的に展開する評論は、“探偵小説の鬼”ならではの面白さだ。特にオタク的気質を反映した、好きな作家に対する思い入れたっぷりの論評では、文壇の重鎮としての乱歩とはまた別の、一ミステリーファンとしての顔が垣間見られて楽しい。そして今回、もう一つの軸となるのは、木々高太郎との「探偵小説論争」であろう。「探偵小説は純文学か」「本格か変格か」。戦前、文壇を沸かせた甲賀三郎と大下宇陀児、木々高太郎の論争を引き継ぐかのように、乱歩と木々との間で交わされた議論は、雑誌『ロック』を主戦場に、やがて新人作家らも巻き込んで賑やかに展開される。これは乱歩の仕掛けたイベントか、それとも論争好きの木々の策略か。「文学」の木々と「本格」の乱歩。二人の論争から明らかになるのは、作家としての立ち位置の違いというより、むしろ読者として探偵小説に何を求めるかの違いである。作家・乱歩ではなく、優れた読み手としての乱歩の5年間を、200点以上の随筆評論で追う。 木々高太郎の論考「新泉録」、乱歩抜きで行われた文学派による「抜打座談会」(昭和25年)、さらに野村胡堂や大佛次郎らが参加した「新春探偵小説討論会」(昭和22年)も収録。当時の文壇の雰囲気を楽しんでいただきたい。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集19 随筆・評論第4集 江戸川乱歩 乱歩賞を創設、『宝石』編集長として新人の育成に努め、海外ミステリーの紹介にも尽力。「大乱歩」獅子奮迅の250本。 欧米探偵小説の紹介と各国探偵作家クラブへのアプローチ、海外探偵作家との交流、トピックの紹介。探偵小説界の牽引役として、また象徴として多忙を極めた乱歩の57歳(昭和26年)~63歳(昭和32年)までの7年間の随筆と評論を発表順に並べてお届けする。 お馴染みの作家論、トリック分類などのほか、いわゆる「文化人」として新聞や雑誌に寄せた小さなコラムや随筆、アンケートの回答も収録。テーマは多岐に渡り、それぞれが昭和という時代を写し、その世相を浮かび上がらせる。 また、後段の『宝石』編集後記では、当時売れ行きが芳しくなかった同誌の編集長を引き受けて奮闘する乱歩の姿が垣間見られる。この時乱歩は私財を投じ(のちに返還された。)、持てる人脈とツテのすべてを使って『宝石』の再生を試みているのだ。 そうして実現したのが、今回特典として収録する対談・座談会などの企画である。中でも、幸田文が小気味良い語り口で繰り出す父・露伴との思い出話(「幸田露伴と探偵小説」)が楽しい。露伴が『新青年』をわざわざ買ってきて一家で読んでいたというエピソード、小栗虫太郎が好きだったという意外な話も披露され、温かな余韻を残す。 今回特別掲載として、高木彬光が『別冊宝石』(江戸川乱歩還暦記念号)に寄せた「小説江戸川乱歩」を収録。乱歩から高木に受け継がれたものを通して、乱歩作品の魅力を読み解く小松教授の解説にもご注目いただきたい。 1,540円 江戸川乱歩 電子全集20 随筆・評論第5集 江戸川乱歩 最終巻のテーマは「読む」。乱歩を読む。昭和を読む。乱歩と読む。晩年の随筆・評論を軸に「読む」楽しさを再確認する一冊。 ◆モダニズムとノスタルジー。「繁栄の昭和」の記憶としての乱歩。 全集完結記念の特別インタビューは、作家・筒井康隆氏。乱歩が編集長を務める『宝石』でデビューした筒井氏は、乱歩亡きあと探偵小説に代わって文壇を席巻したSFブームの先駆者の一人でもある。かつて乱歩は、「探偵小説はSFを内包している」と書いたが、SFはその後独自の発展を遂げ、今や逆にあらゆるジャンルを横断するひとつのスタイルとして確立された。探偵小説からSFへ。乱歩から次の世代へ。“アフター乱歩”を体現するかのようにジャンルを越え、ときに文学の垣根すら飛び越える作家・筒井康隆氏に訊く「乱歩と昭和」。 ◆実は探偵小説ファンだった!淡路恵子が乱歩と語る。 波瀾万丈の人生を乗り越えた男前な生き方と大らかな人柄で、晩年バラエティ番組でも人気となった淡路恵子。往年の大女優がミステリーについて大いに語る座談会(昭和33年)をはじめ、植草甚一らを相手に乱歩が奮闘する座談会・対談を3本収録。 ◆さらに、限定千部の『探偵小説四十年』(桃源社)を再録。 500ページを越える著作をコンパクトな電子データにして収録。持ち運び自在の読んで楽しいスペシャル・コンテンツだ。 浜田雄介・成蹊大学教授による寄稿「乱歩と一緒に本を読もう」、お馴染み小松史生子・金城学院大学教授の解説「ホスト乱歩の真骨頂」と、異色の解説2本もお楽しみに。 1,540円 盲獣・陰獣 江戸川乱歩 乱歩の変態度がもっとも炸裂する貴重作「盲獣」、耽美にして本格推理長篇、代表作とも言える「陰獣」。一冊で大乱歩の究極の世界に耽溺。 858円 江戸川乱歩作品集 十 江戸川乱歩 日本の探偵小説界に大きな足跡を残した江戸川乱歩の短編三本を収録。変装名人の旅役者の正体とは。果たして首泥棒なのか。「百面相役者」木馬館のラッパ吹きが恋した少女。貧乏な彼女に何か買ってやりたいが……「木馬は廻る」世の中を騒がす人形怪人。大金持ちの娘を誘拐して紅の宝冠を要求してきた。小林団長と少年探偵団の活躍。明智小五郎の推理でついに怪人二十面相を捕まえる。「怪人と少年探偵」※読みやすくするため現代の言葉に近づけてますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。 110円 1 234 ... 9 TOP 電子書籍(本・小説) 江戸川乱歩 3ページ目