不完全な親子【文庫改訂版】

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あらすじ

前著『涙のち晴れ 母と過ごした19年間の介護暮らし』から5年、介護の末に両親を看取った著者が明かす両親への複雑な思い、そこから導き出される自身の人生の終い方とは?
親子関係に悩むすべての人に贈る。

「見たかった父の笑顔」
 お父さん
 こんなはずじゃなかったね
 「部屋を借りたよ。お父さんの部屋もあるよ。
 お正月は一泊する?」
 何度聞いても首を横に振った
 とても寒がりだった父
 あなたの「あったかいね」が聞きたくて
 床暖房のついた部屋を借りた
 私が見たことのない顔で笑ってよ
 顔くしゃくしゃにした笑い顔
 一度でいいから見たかったの
   「第5章 終わりのときに向けて」より