小田実 68件 人気順 新着順 「殺すな」と「共生」 小田実 九五年一月の阪神大震災は,今まで築いてきた「経済大国」日本の現実をも一気に露呈させてしまった.この反省にたって,「殺し,殺され」ることなく本当に「共に生きる」市民社会をこれからどうつくっていくべきか.大空襲の体験を思索の出発点とし,今また大震災を体験した著者が,戦後五○年に力強く訴える. 814円 何でも見てやろう 【小田実全集】 小田実 26歳のフルブライト留学生が、欧米・アジア22ヵ国を貧乏旅行したこの旅行記は、ユニークな「世界現代思想講座」である。著者が欧米のスマートな知識人と媚びることなく対等につき合い、垢だらけの凄惨なインドの貧困にも目をそむけることなく向き合う姿は、爽快で頼もしい。アメリカの豊かさとその病根、人種差別を直視する痛烈で優しい眼は、ヨーロッパやアジアにも向けられる。若者らしい痛快な笑いとセンチメンタルな涙、本物の、上等な知性と勇気のベスト&ロングセラー。 1,320円 明後日の手記/泥の世界 【小田実全集】 小田実 戦争によって、回復不可能なほどに深く傷ついた魂を抱き、闘いながら生きる10代の高校生群像を描いた『明後日の手記』は、著者17歳の処女作。主人公とその家族、そして観念と現実の距離に身もだえする若者たちの世界を、早熟な才能と筆力によって活写した。『泥の世界』は、1965年頃、掃き溜めのような大阪と瀟洒な芦屋に住む中年男たちの、一見平和で幸福そうな日常生活の裏側に潜む荒涼たるニヒリズムの謎が、「難死」と「特攻隊」の経験であったことを解き明かす思想小説。 1,100円 「アボジ」を踏む 【小田実全集】 小田実 震災後に書いた「ぼくは生まで帰る」から始まる表題作は、三十年に一度と言われる名作として川端康成文学賞の審査員たちをうならせた。「アボジ」の済州島での野辺の送りは万葉集やホメロスの時代の葬送を彷彿とさせる。太平洋戦争やナチの強制収容所、大震災で無念のうちに死んでいった人の記憶を刻む『「三千軍兵」の墓』の他、1957年、63年、74年、80年、87年に書かれた五つを含む計七篇の短篇。人間がそれぞれの時代に遭遇する戦争、国境、漂泊、死を見つめた「短篇全体小説集」。 880円 アメリカ 【小田実全集】 小田実 前途有望な商社員の主人公が留学の地で見たものは、摩天楼の、田舎町のフェア(市)の、自由と民主主義の、テキサスの砂漠の、ゲイの、現代文明の、H・ミラーの、T・ウルフの、白人、黒人、黄色の、男と女の、そして空爆のアメリカ。それらアメリカを深く抱いた著者が、人間の性と人種差別の問題を、広大な大陸に降り注ぐ雨のように全編にわたってしたたらせた。その技巧は、世界文学そのもの。『何でも見てやろう』の生まれる前から構想、書かれていたというフィクションの巨編。 1,320円 暗潮/玉砕 【小田実全集】 小田実 1930年代末、大阪の町に戦争の影がしのびより、庶民の暮らしぶりも変っていく。『暗潮』は、著者の「大阪物語」の第2部として書かれた。第1部は『風河』。外地で展開されていた日本の戦争の潮は、ひたひたと主人公たちを呑みこんでいく。著者が生涯追い求めてきたテーマ「戦争と平和主義」を最上の文学作品に昇華させた『玉砕』は、ドナルド・キーン氏の英訳、英国BBCラジオのドラマ化によって全世界に知れ渡る――おぞましき戦争の本質と無意味を現代に問う「戦争文学」の傑作。 880円 生きとし生けるものは 【小田実全集】 小田実 かつて南洋の島々は、日米死闘の地だった。もっとその前はスペイン、ドイツの植民地。今はアメリカの戦略的基地だ。その間、現住民の名前も生活も次々と変っていった。バブル絶頂期の日本で南洋出身の力士を集め、相撲のリーグ戦を考えついた85歳の会社経営者は、南海の島にリゾート施設をつくろうと現地へ乗りこむ。現住民に「平和と繁栄、幸福」を約束するといきまいたが、物語の結末で見るドンデン返しは圧巻。痛快で機知に富む笑い、倒錯する想像力、悪ふざけ、諷刺喜劇の傑作。 880円 生きる術としての哲学 【小田実全集】 小田実 修辞学の主題は人間の行為にあるとアリストテレスは言う。明治以来、日本における西洋哲学の受容は主に解釈学であり、修辞学でなかったのはなぜか。古代アテナイの修辞学を深く学んだ著者は、この疑問に答える。9.11以後、米国主導のグローバリゼーションは経済中心から軍事重要視へ変貌。古典の世界と現代の世界を結びつけ、その論理と構造を解明する。慶應義塾大学経済学部で行った「現代思想」最後の講義録。修辞学は、単に言葉や心理の技術でなく行動の中の哲学の技術でもある。 880円 XYZ 【小田実全集】 小田実 「東西ベルリンの壁」を越えようと殺された主人公は甦り、ナチ時代を彷徨する。普段の日常の流れや命を突然奪う戦争の悲惨は、やがてトロイア戦争や「メロスの虐殺」で殺された者たちを甦らせる。「生老病死」の命の完結を途中で断たれる誇り高き魂のアプロディテ。古代ギリシアのスーパースターたちの名前をもつ登場人物や昔の家具調度、服飾品。自由と民主主義を旗印に戦争や侵略をくり返した古代国家の様相は、現代世界を生き写す鏡。紀元前から現代に至る戦争歴史をたどる圧巻小説。 1,320円 大阪シンフォニー 【小田実全集】 小田実 焼跡には瓦礫の堆積で出来た30センチの高さが残る。大阪大空襲による死者の亡骸と魂がコヤシとなって残る廃墟は、戦争の跡地。悲惨も何もかも飲み込んだ焦土の上に生きのびるため、前代未聞の「闇市コミューン」をつくろうと奔走する戦災孤児マルコ・ポーロとクレオパトラ、その仲間たち。愛すべき彼らは恐るべき子供たちなのか、それとも歴史の証言者なのか。甘苦くも、端正な力強さで奏で上げる交響曲は、あの戦争と難死の意味を問いつづけて鳴りやまない。知りたかった、大阪物語。 1,320円 小田実小説世界を歩く 【小田実全集】 小田実 端正でそつがなく、世に名文と呼ばれている文章より、「ヘタ」で「ういういしい」、ザックリとした豊かさを放つ文章を選びとった明治から昭和までの小説群。谷崎潤一郎から始って、有島武郎、武田麟太郎、長塚節、徳田秋声、徳永直、前田河広一郎、金史良、徳冨蘆花、夏目漱石、嘉村礒多、壺井栄、原民喜、そしてジョン・オカダまでの小説を、著者が一人の読者としてたっぷりと愉しみながら、ゆるりゆるりと文体を含味し、考えぬいたユニークな文学論。小説の醍醐味と効用を教えてくれる。 880円 オモニ太平記 【小田実全集】 小田実 日本と朝鮮半島の長くて重い歴史、非情な政治を、家族の温かい涙と笑い、希望、感動にのせて洞察した超傑作エッセイ。 880円 終らない旅 【小田実全集】 小田実 久美子の父は阪神大震災で、ジーンの母は「9・11」後、共に死ぬ。ジーンの突然の訪日で次々と明かされる娘たちの親の日米を挟んだ秘められた偕老同穴の結婚の夢。長い時間をかけ、国境を越え人はなぜ人を愛するのか。人間の姿、愛の形を縦糸に、大阪大空襲からベトナム戦争、「9・11」等、父が生きた戦後史の時空を静かに娘へ語りつぐ哲学的小説。普通の人びとの力は微力だが無力ではない。西洋の「動」に対して東洋の「静」のもつ力。ベトナム反戦運動の文明史的意義は生き続ける。 1,540円 海冥 【小田実全集】 小田実 果てしなく広がる太平洋の島々で、日米の戦争があった。細長い極限のジャングル、絶海の孤島での激戦は、兵士や軍属を次々と「玉砕」や餓死へ追いやる。太平洋での海の戦争は、やがて空の戦争に変り日本を空爆。それは地上を焼きつくす土の戦争となった。戦場の勇者、帝国臣民として駆り出された植民地出身者ら全ての戦死者の屍が眠る戦場の海。太平洋が著者に語った無数の、縄のようにもつれた「流民」の話。戦後に生きる普通の人びとの切っても切れない、戦争の影を追った16の短篇。 880円 ガ島 【小田実全集】 小田実 1973年頃、大阪のうまくて安いトンカツ屋チェーン店の主人西川と妻の姉キヨ子が、香港旅行の時、マカオで知り合った若い不動産屋中島に誘われて南海の孤島「ガ島」へ行く。三人は、島で出会ったドイツ人青年と共にかつては「人食い人種」が住んだというジャングル奥地の部族を訪ねる。読者は、登場人物たちのドタバタ喜劇の語り口に導かれ、部族の神話やジャングルの精と出会うことになる。が、物語の裡に隠された真実は、日米戦場の島ガダルカナルに眠る、兵士の遺骨拾いの旅だった。 1,100円 壁を破る 【小田実全集】 小田実 本書は1962年から64年にかけて著者が、日本と世界とが積極的に結びつき、その上で日本独自の立場を築き上げようと志して書いた国際関係論だ。かつてのフルブライト留学生たちを訪ね歩くことで、自分にとって、また私たちにとって、アメリカとは何か、日本とは何かを考えた。作者は、日本が「アメリカのつくったもう一つの日本」であることを欲しない。日本は、かつて自分たちが侵略したアジア・アフリカを避けて通ることは出来ないことを、初めての韓国訪問の中で考えた。 880円 河(上) 【小田実全集】 小田実 日清・日露戦争、大逆事件、富国強兵へと邁進する激動の20世紀初頭の日本で少年主人公・重夫は朝鮮人の父と日本人の母のもとに生まれる。関東大震災で生き別れた父の後を追って母とともに神戸、上海、広州へと移り住む。アジアの独立をもとめてたたかう中国、朝鮮、インドシナの人々、そして彼らを助ける日本人、米国人、アイルランド人など、東アジアの近現代史という「河」に鳴り響く、人間の涙と血と愛がいっぱい詰った未完成交響楽物語。小田文学が到達した六千枚のライフワーク。 1,980円 河(中) 【小田実全集】 小田実 日清・日露戦争、大逆事件、富国強兵へと邁進する激動の20世紀初頭の日本で少年主人公・重夫は朝鮮人の父と日本人の母のもとに生まれる。関東大震災で生き別れた父の後を追って母とともに神戸、上海、広州へと移り住む。アジアの独立をもとめてたたかう中国、朝鮮、インドシナの人々、そして彼らを助ける日本人、米国人、アイルランド人など、東アジアの近現代史という「河」に鳴り響く、人間の涙と血と愛がいっぱい詰った未完成交響楽物語。小田文学が到達した六千枚のライフワーク。 1,980円 河(下) 【小田実全集】 小田実 日清・日露戦争、大逆事件、富国強兵へと邁進する激動の20世紀初頭の日本で少年主人公・重夫は朝鮮人の父と日本人の母のもとに生まれる。関東大震災で生き別れた父の後を追って母とともに神戸、上海、広州へと移り住む。アジアの独立をもとめてたたかう中国、朝鮮、インドシナの人々、そして彼らを助ける日本人、米国人、アイルランド人など、東アジアの近現代史という「河」に鳴り響く、人間の涙と血と愛がいっぱい詰った未完成交響楽物語。小田文学が到達した六千枚のライフワーク。 1,980円 基底にあるもの 【小田実全集】 小田実 「知る」ということは「存在」そのものを想像や「参加」によって既存のものから高い認識へと引き上げるもの。一九七四年から八〇年にかけて著者が「知る」という意味をめぐり、人びと、世界、文学を語った文集。人と人とが繋がり合う「あるべき」世界とは自由な精神をもつ市民どうしの魂の、血縁、地縁、時空のわくを越えた人類史の共生だ。長い間深く判らなかったギリシャ悲劇の主題=国家と人間と運命のからみ合いや崇高について、ベ平連の脱走兵援助活動をした結果、見えてきた。 1,320円 1234 TOP 電子書籍(本・小説) 小田実