若き日の次郎長 東海の顔役

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330円 清水港は米飢饉、町には難民があふれ、米問屋・坂田屋の養子・長五郎は米を売るわけにも行かず、毎日、子供たちを集めての草相撲に興じてみたり、許婚者のお蝶をからかったり、挙句の果てに真昼間からバクチにふけるという無頼の日々を送っていた。 ある日、長五郎はお上の御用米を運ぶ途中、しつこくつきまとう難民の一人、増川の仙右衛門と、米を売れ売らないで大喧嘩、やけ酒をあおって帰ってみたら浪人姿の老人・嘉平次が坂田屋の店先で、脇差を突きつけて米を強請っていた。長五郎は、この嘉平次をネズミ侍と嘲り、さんざ痛めつけた挙句、一袋の米を与えて追い返す。しかし、屈辱を受けた嘉平次は、一人娘のお美根を残し割腹して果てた。生ぐさ坊主・法印の大五郎の案内で現場の難民小屋に駆けつけた長五郎は、あの米が嘉平次、お美根親子の別れの宴に使われ、そしてまた、少しも長五郎を憎んでいないお美根の純な心に打たれて、難民たちに禁制の米を売る決心を固めた。「俺が死ぬ気になりゃ、皆んな米食えるんだ」米俵の上で大あぐら、威勢のいい啖呵を切る長五郎だったが、駆けつけた役人の手に押えられた。縛についた長五郎は重刑に処せられたが、少しも主張を譲らなかった。やがて家に戻った長五郎に、父の三右衛門は「死んだ気になって出直せ」と短銃を渡し、相撲上がりの常に命じて、紀州向けの舟に乗せた。この梵天丸には、長五郎の他、仙右衛門が女房のお照を連れて密航していたため、女を放り出せという船頭の常に、無茶をするなという長五郎が対立し、大喧嘩となったが、敏捷な長五郎が大男の常を圧倒、この結果、長五郎が新しく船頭となった。ところが、長五郎は梵天丸の方向を米どころの尾張に転じ、父・三右衛門の知り合いの鳴海屋を手はじめに尾張中の米屋に当たって見たが、米を一切やくざが仕切っているため、手に入れることができなかった。この事実を桶屋の鬼吉から聞いた長五郎は、尾張一の悪ボス・権六のもとに乗り込み、丁半のサイに賭けて三百俵の米切手を得た。これで大いに意気の上がった長五郎たちは、権六一家への一宿一飯の義理から、途中、追分の三五郎に斬りつけられる事件などあったが、一路切手を米に変えるべく、桑名を目指して進む。ところが、桑名の米問屋・伊勢屋では、古市の伝兵衛の差し金で米は渡されず、挙句の果てには長五郎に斬りつける始末。さしもの長五郎も多勢に無勢で斬り立てられたが、三五郎が長五郎に力を貸し、追っ手を引き受けて長五郎を逃がした。傷ついた長五郎はとあるチャブ屋街に逃げ込んだが、ここでお美根に再開し傷の手当てを受けた。お美根の涙を振り切った長五郎は、仲間のもとへ戻ったが、三五郎から四日市で、表向きの花会、実はヤミ米の大取引が行われるということを耳にし、名も清水の次郎長と変えると大前田英五郎、寺津の治助、安濃徳右衛門など親分衆の並ぶ花会に、三度笠のやくざ姿も颯爽と乗り込んだ。「てめえ生国は清水じゃ、一合の米が無くて人が死ぬ。そのでえじな米を金を賭けるバクチ道具に使いやがって、汚ねえやいッ!」命を張った次郎長の鉄火啖呵に、さしもの親分衆も声がなく、次郎長の男に惚れた大前田英五郎の計らいによって、米を受け取ることが出来た。追風を帆にはらんで、梵天丸は船足も軽く一路清水へと向かって行った。
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  • スタッフ
    監督 : マキノ雅弘 脚本 : 笠原和夫、小野龍之助、マキノ雅弘 音楽 : 鈴木静一
(C)東映

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